ベビーマッサージの本質が問われている(1)

「首ひねる独自マッサージ後乳児死亡 NPO代表任意聴取」 朝日新聞デジタル 9月6日(土)13時14分配信 「施術後に乳児が死亡…「免疫力高める」首ひねり」 読売オンライン  9月6日   この事故に関する一連のニュースを読み、当該NPO法人のHPやブログを見てみました。 NPO法人代表の方が考案した独自の施術法のようですが、死亡事例が出ていることを抜きにしても、危なっかしくて見ていられない施術が含まれているというのが、正直な私の感想です。この施術法が「マッサージ」として報道されているため、ベビーマッサージと関連付けられていますが、これはベビーマッサージとは全く別物で、むろ整体に近いもののように見えます。 しかし、いくら別物だと言っても、ベビーマッサージと関連づけた扱いをされている以上は、「ベビーマッサージは、危険なのでは?」といった声や風潮が湧きおこり、無暗に不安を煽られるお母さんや、それを教えるベビーマッサージインストラクターもいるかもしれません。 私は、そのような方々に、ベビーマッサージ資格認定団体の代表として、これをお伝えしたい。 「ベビーマッサージは、やると良いことがたくさんあるのに、やって悪いことは一つもない。」 ベビーマッサージの営みは、呼び方ややり方は違えど、世界のあちこちで、伝統的に行われてきた営みで、今でもそれらは受け継がれています。、母親が赤ちゃんの体を、やさしくマッサージする営みは、100年前にも行われており、100年後も受け継がれて残っていく営みです。もし、何か一つでも悪い影響やリスクを伴うものなら、受け継がれることなく消えていくはずです。つまり、昔から伝統的に行われ、今も残っているということは、それなりの理由があり、受け継がれる意味があり、そのこと自体に価値があります。それは、「やると良いことがたくさんあるのに、やって悪いことは一つもない。」ことの証として、どんな学者のお墨付きよりも頼りになる事実です。 しかしながら、これは、常に次の前提と共に、判断せねばなりません。それは・・・ 「赤ちゃんにとって100の良いことあったとしても、たった一つの悪いかもしれないこと、あるいはリスクが伴うなら、その選択は、一切するべきではない」 このことは、当協会の「アタッチメント・ベビーマッサージ インストラクター養成講座」のカリキュラムの中でも、伝えていることです。 たとえ、名称がベビーマッサージであったとしても、あるいは、ベビーマッサージに見えるような営みであったとしても、その営みが、上の前提をクリアしているのかどうか、それが判断ポイントです。 今回の「首ひねる独自マッサージ」はどうでしょうか?免疫力を高めるとか、姿勢を矯正するとか、病気になりにくい体になる、便秘やアトピーも治るなど、たくさんの良い効果効能をうたっていたとしても、「首をひねる」という施術が、少なくとも赤ちゃんにとって「リスク」になることは、冷静に考えれば判断できます。(読売オンラインの記事に、その方法が掲載されていますが、誰が見ても乳児に施術するのは怖い方法です。)それによって、良くなる事例や、功を奏する事例がいくらあったとしても、リスクを伴うという事実を認識したら、その選択はしてはいけません。この団体の他の施術も見ましたが、ところどころで、赤ちゃんへのダメージを心配してしまうようなものが見受けられました。一方で、とても良いであろうものも、たくさんありました。むしろ、良い営みがほとんどで、リスクのありそうなものが、いくつかあるといった印象です。しかし、一つでもリスクを認識したなら、その選択はしてはいけないのです。 ベビーマッサージに限らず、乳幼児に対して、われわれ大人は、常にこの二つの視点を持って慎重に判断し、実践あるいは回避をしなければなりません。そして、正しい判断をするための判断基準とリスクを感じ取る感性を、持ち合わせていなければなりません。

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