カンガルーケア

カンガルーケアって知ってますか? 

生まれてすぐに、裸、もしくはオムツだけつけた赤ちゃんをお母さんの素肌にのせて、カンガルーの親子のように過ごすことで、赤ちゃんとのアタッチメントをつくるのにとても有効だとされています。

南米コロンビアのボゴタで、20年ほど前に始められた試みで、もともとは未熟児で生まれた赤ちゃんの治療法でした。
当初、KMC(カンガルー・マザー・ケア)と呼ばれるこの治療法は、早産で生まれた新生児が、出生直後の問題を克服し、哺乳し体重増加を待つだけになったときに、質・量ともに不十分な保育器によるケアを補う手段として発展しました。
その後の約20年に及ぶ臨床経験と研究によって、KMCは単に保育器の代わりというだけでなく、それを越えた意義をもつことが明らかになりました。

さらに環境や出生体重、在胎週数、臨床症状にかかわらず、どんな新生児にとっても、保温、母乳育児そして母と子の絆の形成のために効果的であることがわかりました。(WHOカンガルー・マザー・ケア実践ガイド参考)

現在カンガルーケアというと、「健康な赤ちゃんを、生まれてすぐに、お母さんのおなかの上に寝かせて、2時間から3時間一緒に過ごす」ということもさすことが多いと思います。 多くの助産院、産院等でも行われています。
大変良い試みなのですが、その中には赤ちゃんを5分くらいお腹にのせて、すぐに処置に連れて行ってしまうという、医療機関もあるそうです。そんなに短時間では、赤ちゃんと心をかよわせることは出来ません。カンガルーケアという名前だけが一人歩きしているようです。

では、健康に生まれた赤ちゃんとお母さんにとって、カンガルーケアの良い点はどんなことか、まとめてみましょう。

*お母さんはカンガルーケア中に育児に対する不安がなくなり、自信を持つことができる。
*お父さんもカンガルーケア中にリラックスでき、快適で満たされた気持ちになる。
*お父さんも赤ちゃんに夢中になり、子育てに積極的に参加するようになる。
*母乳育児を始めやすい。
*赤ちゃんは安心して、落ち着く。
*親子の愛着が形成しやすくなる。
*赤ちゃんが求めるものが自然に分かるようになる。
などです。

日本アタッチメント育児協会では、このカンガルーケアの効果を、もっと気軽に多くのお母さん、お父さんに取り入れてもらうために、「お昼寝カンガルーケア」をお勧めします。取り入れ方はとても簡単です。

①まず、赤ちゃんを裸(オムツはつけていてもかまいません)にします。

②そして、お母さん(お父さん)の胸に、赤ちゃんをぴったりつける形で抱っこします。

③このとき、赤ちゃんの股関節は屈折させて”かえる”の姿勢のように広げましょう。腕も曲げましょう。カンガルーケア用抱っこ紐を使って、赤ちゃんを抱っこすると赤ちゃんがずり落ちません。赤ちゃんの耳の下に、布がくるように固定しましょう。(赤ちゃんの胸やお腹をしめつけないように、気をつけましょう。)
赤ちゃんと一体になったら、準備完了!

 

④お母さん(お父さん)は、リラックスして、ソファに座るか、ベッドに横になりましょう。(背中を少し起こすとラクです)赤ちゃんの顔を見ながら、にっこり微笑んだり、話しかけたりしたら、ゆったりした気持ちで赤ちゃんとの特別な時間を楽しみましょう。

⑤それでは、目を閉じて全身で赤ちゃんを受け入れましょう。赤ちゃんのにおい、息遣い、やわらかさ、暖かさを感じましょう。赤ちゃんは、お母さんのにおい、心臓の音、優しい声、暖かさを感じて安心してまどろんでいるでしょう。

こうして、赤ちゃんとの素敵なひと時を過ごすことは、赤ちゃんとアタッチメントを作っていくことなのです。ぴったり一緒にいることで、赤ちゃんの求めることにすぐに反応してあげることができ、赤ちゃんとの対話もスムーズにできます。

何より、赤ちゃんは、お腹の中に一番近いお母さんの暖かい胸で、心臓の音を聞きながら、お母さんを感じることができるのです。 これ以上の安心はないのではないでしょうか?

    

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