幼児教育、学ぶのは子どもじゃない
私は、幼児期に習い事をすることそのものは、特に反対ではありません。でも、幼児期の習い事には、それなりに気をつけなければいけないことがあるとも思っています。それを無視してしまうと、子どもの心を抑圧し、健全な発達が得られないばかりか、能力にもブレーキをかけてしまう事にもなりかねない側面があるからです。
今、幼児期のお子さんに習い事をさせている、もしくはさせようと思っている方で、もし次の項目のうち、一つでもあてはまることがあれば、一度見つめなおされると良いと思います。
・自分に出来ないことを、やらせようとしていませんか?
・先生や教室まかせにしていませんか?
・大人の期待する振る舞いを、子どもに期待していませんか?
・子どもに「やらせていませんか?」
・まわりと競争になっていませんか?
いかかがでしょうか?ちょっと解説を加えたいのですが、そもそも、幼児期の習い事は、小学生の習い事や塾とは、全く違います。送り迎えをママがするとか、教室に参加するとか、そういうことで、違うということではありません。「学び方」や「取り組み方」が、本来は、違うということです。上の5つの項目は、それを具体的にまとめたものです。
例えば、英語を習うとき、英語ができないお母さんは、「自分が出来ないから、出来るようになってもらいたい」と思います。でも、自分はわからないから、すべてを先生に託しますね。これでは、子どもは、お母さんに突き放されたと思ってしまいます。望ましいのは、「いっしょに取り組む」という姿勢です。お母さんが英語ができないなら、これを機に「子どもと一緒に学んじゃおう」という姿勢で行うのです。そうすれば、先生任せにもならないですし、自分も一緒にやっているから、過剰な期待もしません。やらせるのではなく、「一緒にやる」ことになります。
それと、幼児期に大切なのは、「まわりと競わないこと」です。「競争原理」は必要だと思います。でも、幼児期には、必要ありません。競うのは「自分」です。つまり、前はできなかったことが、できるようになった!という成功体験が大事です。幼児期に、競争原理を持ち込むことは、自己肯定感を低くするだけです。
子どもが「習い事をする」というときに、「やる」のは「子ども」で、親は「やらせる」ことに終始しがちです。でも、本当は、幼児教育は、子どもが「習う」のではなく、「親が子どもについて学び、子どもを導いてあげる」ことなのです。幼児教室に連れて行って、あとは、先生にまかせて、後ろで見守って、家に帰ったら復習をさせる、そんなことは、幼児教育ではまく、親の自己満足ではないでしょうか。