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第15回 育児セラピスト全国大会(シンポジウム)

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今年のテーマは、同窓会

「最初にベビーマッサージ講座を受けたとき、『また会おうね!』といってLINEやメールを交換したんです。結局連絡することはないまま、10年以上の年月が経ってしまいました。『あのときの同期の人たちは、どうしてるんだろう?同窓会をしてもう一度会いたい!』そんなことを思うけど、いまさら連絡をとることもできません。」

スタッフの岸本が、活動インタビューをさせてもらったある受講生の言葉です。わたしは、この話を聞いてある情景を思い出しました。

全国大会って、そういう思いで始めたんだった

まだ、受講生が今ほど多くはなかったころ、全国大会は、まさに同窓会でした。最初のころ、講座の会場は東京と名古屋のみだったので、毎回、遠方のさまざまな地域から会場に受講生が集まっていました。当然ですが、全国大会も同様に全国各地から参加者が終結しました。本当に、北は北海道、南は九州・沖縄までいました。

全国大会のときは、受講生たちが、同期に声をかけあって会場で再開を楽しむ姿がありました。そのため事務局も気を利かせて、ランチタイムの席順を、同期のグループごとの配置にしていました。ひとりで来た人や、同期が会場にいなかった人は、どこかのグループに入ります。そこに、担当講師が入ったりもします。

グループごとにおしゃべりしたり、ワークをしたりして、全国大会が終わるころには、一体感が生まれ、新しい同期の仲間が形成されました。そこから派生して、コラボレーションが生まれたり、勉強会が立ち上がったりもしました。当時の全国大会には、そんな光景がありました。

「こんな仲間は、他ではできない」そんな集まりなのです

冒頭の受講生のように「同窓会したいな~、でも今さら連絡はとりにくいな~」と思った方も、多いのではないでしょうか?そう思ったその気持ちを、ぜひ大事にしてほしいと思います。そして、実際に同窓会をやって、仲間と再び会ってほしいです。

そうした場では、つながりが深まり、モチベーションが上がり、いろんなアイデアが生まれます。それらは、みなさん一人ひとりの活動を活性化させ、新しい展開がはじまります。少し停滞していた人や、やりあぐねていた人も、刺激をもらい、勇気をもらい、一歩を踏み出すきっかけを得られます。同窓会は、参加者みんなにとってイイことしかありません。

それは、アタッチメントに魅せられて、同じ志をもって、同じものを学び合った仲間の集まりです。仕事に関係していたり、人生そのものにかかわったりする仲間たちの集まりです。

わたしは、こんな言葉を受講生の口からきくことが多々あります。

「こんな仲間は、他ではできない」

小中高の同窓会とも違うし、仕事仲間の集まりとも違う。ママ友や近所の集まりでもない。これはまさに、“ここにしか咲かない花” たちの集まりではないでしょうか。そんな仲間との同窓会は、想像しただけでも、クリエイティブで、エキサイティングで、インタレスティングではないですか!

ならば全国大会を、同窓会にしてしまいましょう!

そうは言っても、実際に同窓会をやろうと思ったら、「どうしていいか、何から始めてよいかわからない」「自分はそういう柄じゃない」そんな風に思えてしまうかもしれません。

わかりました!ならば、わたしが幹事となりましょう。全国大会を同窓会にしてしまいましょう!

今年も、東京会場とオンライン会場をつないで、場所の制約を取り払って行います。全国どこからでも参加できます。それを前提にして、基本的に、過去に一緒に受講した同期が同じになるようにグループ分けをします。

ひとつの同期が1グループになるかもしれません。いくつかの同期が、ひとつのグループになることもあるでしょう。あるいは、同期の参加者のいない人同士で、地域や職業など、何らかの共通項でグループを作るかもしれません。このグループで知り合った人たちが、新たな同期の単位として、機能することでしょう。創世記の全国大会のように、あちらこちらで、あらたな試みが起こることでしょう。

当日はぜひ、グループが一緒になった人たち同士で、LINE交換したり、Facebookでつながったりしてください。そして、実際に連絡を取り合って、近況を話したり、勉強会を行ったりしてください。わたしも、そうなるように精一杯応援いたします。

幹事から一つお願いです

最後に、ひとつだけ、幹事からみなさんへお願いがあります。みなさん一人ひとりに、同期の人たちに、声をかけて欲しいのです。

「ひさしぶり!どうしてる?」から始めて、「今度の全国大会が、同窓会になるんだって。いっしょに参加しない?」と声をかけてください。

わたしや事務局が声をかけるのと、同期としてみなさんが声をかけ合うのは、意味合いが全く違います。今年のシンポジウムは、同窓会の仕立てで行いますので、ぜひこれを機に、勇気を出して、久しぶりに、同期のメンバーに声をかけてみてください。

「そうは言っても、もう連絡先が変わってますよ。」

「連絡とりたいけど、その手段がないんですよ!」

はい、想定内です。

みなさんは、昨年当協会のシステムがリニューアルしたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?そのなかの機能に「同期の掲示板」というのがあります。この機能は、まさにこのような時のために作ったものです。

リニューアルした「受講生ページ」は、一人ひとりのマイページになっており、みなさんが受講した講座それぞれに、同期の掲示板が設定されています。そこへ行けば、同期に誰がいたかがわかりますし、掲示板にメッセージを書き込むことができます。掲示板を見られるのは同期のメンバーと担当講師だけです。これを使って、ぜひ声かけをしていただいて、同窓会を実現させてほしいのです。

このチャレンジを、みなさんとの共同作業で実現したい

いかがでしたでしょうか?全国大会で同窓会をおこなう構想は。実現すれば、みなさんにとって本当に実りの多い全国大会になると思います。そうなるように、私も全力でこの同窓会を準備・運営させていただきます。

どうなるのか、読めないことだらけのチャレンジングな試みです。わたしの声かけと企画だけでは到底成立しません。その意味で、私とみなさんの共同作業だと思っています。ぜひご協力をお願いします。

一般社団法人 日本アタッチメント育児協会

代表理事

10/20
(日)

シンポジウム

今年のテーマは、同窓会

基調講演

宮島 祐先生  東京家政大学副学長・名誉教授/かせい森のクリニック院長
「育ちのなかで生ずる発達の不具合」

今年の基調講演は、東京家政大学 副学長の宮島 祐先生にお話しいただきます。宮島先生は、医師であり、教育者として保育士養成に携わり、発達障がい児支援の第一人者でもあります。

じつは昨年すでにお願いしていたのですが、なかなかスケジュールが合わず、今回ようやくご登壇いただけることとなりました。

宮島先生が提唱する「ペアレント・トレーニング」は、発達障がい児支援の現場での実践に基づくものであり、子育て支援を志すわたしたち育児セラピストにとって、大きな学びとなるだけでなく、これまでのアタッチメント理論の理解を深めるものになると思い、ぜひみなさんにご紹介したいと考えておりました。

問題行動は、発達障害だけが理由じゃない

発達障害は、生まれながらの脳機能障害であり、育ちや環境には関係ないものを言います。しかし実際には、発達障害ではなくても、その後の親の養育によって自閉症と類似する特徴が現れたり、言葉の遅れが生じたりするケースは少なくありません。こうしたケースでは、発達障がい児が抱えるような“生きづらさ”を背負ってしまうことも少なくありません。みなさんご存じの愛着障害は、それが病理となるくらい深刻な状態に高じたものと言えます。

多動や、コミュニケーションのズレ、言葉の遅れ、指示が通りにくいといった特徴をもつ子どもは年々増えている、という印象があることは、保育や子育て支援の現場の多くの方が同意するところかと思います。そうした子どもの親の養育に目を向けてみると、発達障害ではなく、むしろ養育態度によって「発達の不具合」が生じてしまっているケースは意外と多いという実感が、わたしにもあります。

熱心な親にこそ、見つめて欲しい発達の真実

なかでも、わたしが危惧するのは、親自身が、子どもに十分な愛情をかけており、子育てや教育に熱心なケースです。こういうお母さんは、自身も勉強熱心で、発達のことをよく学んでおられ、みずからの子育てを高く自己評価しています。そのため、子どもの発達に起きている異変に、なかなか気づいてあげられない傾向がみられます。

「言葉の遅れ」などのわかりやすい形で、2歳くらいの早い時期に表面化すれば、それが方針転換のきっかけとなり得ます。発達初期なので、養育態度と環境を変えることで、簡単に状況は良化します。

むしろ問題なのは、わかりやすく発達の不具合が出ないケースです。少し多動だったり、集中力がなかったり、指示が入りにくかったりする。さほど大きな問題ではない程度だと、これらの特徴が大人には、ちょっとした問題行動だと映ってしまいます。親は、それを正すために余計に厳しく接したり、叱ったり、正しい行動に矯正するような訓練をしてしまったりします。それによって、本人の自己意識を著しく低めてしまうことがあります。とくに感受性の強い子どもの場合、劣等感をさらに大きくしてしまい、生きづらさを増してしまいます。そうなると、特徴はより強く出てしまい、最終的に発達障害と診断されるケースも少なくありません。

まったく成り立ちが違う、愛着障害と発達障害

生まれながらの脳機能障害である発達障害と、育ちの中で生じた発達の不具合である愛着障害は、じつは境目なく存在しています。しかし、両者の成り立ちは、まったく違います。

愛着障害では、本来、乳児期の最初に獲得しておきたかった“自己肯定感”を得る機会がないままに、自律性や自主性といったその先の発達課題を求められます。さらに年齢を重ねると、規律や協調性、共感性といったもっと先をも求められてしまいます。すると年齢を重ねるごとに、子どもの脳は混乱してゆきます。混乱した脳は、やがて機能不全を起こし不具合が表面化します。この不具合は、「発達」そのものに起こる場合もあれば、「心」に起こることで親子関係を歪ませてしまう場合もあります。

そもそもの出発時点で、最も大事な“自己肯定感”の獲得を、阻んだのは何だったのでしょうか?いろいろあり得ます。早期幼児教育、早期えいご教育、習いごと、厳しいしつけ、過干渉・・・いずれも、0・1・2歳の時期に、親が子どもにとって“良かれ”と思ってやることです。これらが、悪であると言うつもりは、毛頭ありません。しかし、取り組み方によっては、愛着不全や愛着障害という“良くない”結果を生んでしまうメカニズムがあるのも事実です。アタッチメント的に言えば、そのカギこそが、“自己肯定感”を獲得できたかどうかです。

東京家政大学 狭山キャンパス

今回の宮島先生のお話は、発達障害というテーマだけでなく、子育てや保育全体に関わるお話しであるのとともに、親、保育者、子育て支援として、「本当に大事なことは何なのか?」という問いを考えるきっかけにしたいと考えております。

“これまで”の価値観がまったく通用しない、“これから”の時代に、子育ては、保育は、教育は、何を拠り所にすればよいのか?どこへ向かえばよいのか?そんな答えのない問いに立ち向かう機会となれば、という願いを込めています。

一般社団法人 日本アタッチメント育児協会

代表理事

優秀実践発表

言葉にして振り返った人だけに起こることがある

今年も、毎度同じことを繰り返しお伝えさせていただきます。

実践報告には、いつも報告者の視点で紡がれた物語があります。さまざまな登場人物が描かれ、出来事やアクシデントをとおして主人公が成長します。そうした報告者の発表を聴く機会が、優秀実践発表です。これは皆さんにとって、脳への刺激であり、発想の転換であり、モティベーションの源泉となります。

同時に、実践報告は、みなさん一人ひとりが「これまでしてきた実践を言葉にして振り返る」機会でもあります。実践報告をした人が、優秀実践者の発表を聞くのと、してない人が聞くのとでは、起こる事実が全く違います。つまり、両者の間では、その脳内で起こっている反応の次元が全く異なるのです。発表者の物語は、聞き手により深く、よりリアルに、より実用的に伝わり、それを自分事に置き換えて解釈することができます。そのため、よりダイナミックな体験となり、大きな学びと刺激と発想を受けることになります。同じインプットが行われても、受け手によってそのアウトプットは全く異なるのが、われわれの脳の特性です。

カタチなきものにこそ、本当の価値が宿る

これまでの活動の区切りや振り返りとして、そして、これからの展望を描くため、「実践報告すること」は、この上ない価値を創出してくれます。言葉にしてまとめた時点で、大きな意味が立ち現れます。

さらに、優秀実践者として、それを発表することで大勢の人にアウトプットする機会を得ると、何かのスイッチが入ったかのように、自分のまわりの状況が動き始め、必要な情報が入ってきたり、必要な人と出会ったりします。これは、社会学者ロバート・キング・マートンの言う“セレンディピティ”や、心理学者カール・グスタフ・ユングの言う“シンクロニシティ”に外なりません。実践報告には、そんな奥深い世界観が確かに存在します。これまでの発表者をみてきて、これは、はっきりと断言できます。

“場” には、想像を超えたチカラがある

実践報告をしたことのない人は、ぜひ今年やってみてください。書くだけで、すでに大きなものが得られます。いまやっていることの価値が実感できます。そして、次にどこに進みたいのかという展望が見えてくることと思います。

実践報告をしたことのある方は、“その後”をつづってみてください。物語のつづきです。すると、自分が確実に前に進んでいることが実感できます。点と点は線でつながり、明確な展望が浮かび上がります。それは、あなたの人生を豊かにしてくれます。

今年はぜひ、実践報告の段階からご参加ください。

育児セラピスト全国交流会

毎年恒例のランチを介した「おしゃべり会」です。特に、今年のテーマは「同窓会」。いっしょに学んだ仲間との再会であり、新しい仲間との出会いでもあります。お互いの近況や、いま取り組んでいることなどを自由に話し、交流することで、その後につながる関係性が生まれます。

そもそも、全国大会は、講座を修了された方たちが再び集い、しゃべり、刺激を受け、つながり合い、新しい関係をつくるための場です。たまたま、同じグループになった人は、そうなる縁でつながっている人です。何かしら意味があります。ランチ交流会は、その入り口です。じつは、そのあとにおこなわれる「お悩みスーパーバイズ」につながる導入の役割も担っています。

お悩みスーパーバイズ 2024

「お悩みスーパーバイズ」では、お互いの悩みに向き合います。全国大会のように、同じ思い、同じ志をもって、同じ学びを共有している仲間同士が集う場だからこそ、“安心安全の場”が形成されます。そのような場で、悩みを他者に打ち明ける、他者の悩みを聞く。いろんな人の考え方や捉え方に触れる。それは、人によって、刺激であったり、新たな気づきや解決であったり、あるいはセラピーになったりします。

じつはこれ、アタッチメント理論に基づく心理療法として近年注目されている「メンタライジング」という心理セラピーで起こる作用そのものなのです。

ある人は、刺激をもらうことで、なえかけていたモティベーションに再び火が付くかもしれません。やりあぐねていたことの解決策を得る人がいるかもしれません。気落ちしていた心が、癒されるかもしれません。同じように悩んでいる人に出会い、「自分だけじゃなかった」と背中を押されるかもしれません。

人とつながり、未来とつながり、価値を創出する

わたしは、ここで、スーパーバイザーの役を、毎年させていただくことで、みなさんとの関係性を深め、先の展望を持たせてもらい、明日への活力をいただいております。同時に、参加者のみなさんにとっても、そのような時間となっていると願っております。

とくに、今年のテーマは「同窓会」。久しぶりに再会した仲間や、新しい仲間と繰り広げられる会話は、ステキなセレンディピティとシンクロニシティを生んでくれるでしょう。

まだ、全国大会に参加したことのない方は、ぜひそれを確かめに来ませんか?

経験者の方は、この全国大会を、一里塚あるいはベンチマークのように活用してください。

一般社団法人 日本アタッチメント育児協会

代表理事

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