13年つづけてきたベビーマッサージ教室と親子サロン

佐賀県にお住いの岩野しのぶさんは、伊万里市からの講師依頼を受け、2011年から伊万里市保健センターでベビーマッサージ教室を続けています。(現在、子ども家庭センター母子保健課主催)

さらに、2012年には産後うつ傾向のお母さんたちの居場所をつくるため、親子サロン「ぞうさんサロン」も主宰されています。

そんな岩野さんから現在の活動についてご報告をいただきました。


友人の保健師からの依頼で始まった伊万里市のイベントが、定期開催のベビーマッサージ教室に!

もともと、岩野さんは学校を卒業後、保育士として働いたのち、幼児教室でベビーマッサージや右脳左脳の能力開発の講師資格を取り、長く活躍されていました。相談を受けたときは、その幼児教室を退職するタイミングでした。それに伴い、当時取得していたベビーマッサージのライセンスが終了することで、新たに資格を取得する必要があり、当協会の「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター」の資格にたどり着いたといいます。

岩野さんが、現在の活動を始められたのは、伊万里市で保健師をしている友人から「ベビーマッサージのイベントをしたい」と相談を受けたことがきっかけでした。

「2011年に名古屋会場でアタッチメント・ベビーマッサージ講座を受講し、資格を取得しました。資格取得後すぐに、友人の保健師を介して伊万里市のイベントでベビーマッサージ教室の依頼を受けました。当初は2回のみ限定の予定でした。ところが、この教室が好評だったため、月1回の定期開催となりました。このベビーマッサージ教室は、現在まで続いていて、今年で13年目になります。」


岩野さんはその後、「キッズマッサージ/アタッチメント・ジム」「アタッチメント・ヨガ」「教室運営力アップセミナー」などのスキルアップ資格を続けて取得され、活動の幅をさらに広げられました。


リピーターが多いのは、満足度が高い証

岩野さんのベビーマッサージ教室は、伊万里市の母子支援事業の一環で、子育て支援協力員として、毎月1回金曜日(9時半~11時くらいまで)、場所は、伊万里市民センター内の健康推進課です。

首がすわった3カ月ごろから1歳までの親子を対象に、500円の参加費(オイル代として)で行っています。

「オイルは小さなボトルに小分けにし、使用上の注意事項をまとめたものと一緒に袋に入れています。当日分とお家に帰って、足のマッサージの復習ができる位の量を目安にお渡ししています。」

ご参加は、6組前後になることが多いそうです。リピーターの方も初めての方も一緒に行いますが、割合としては、リピーターの方が多いといいます。

「リピーターの方は、ご自分でもオイルが欲しいとおっしゃる方がいるので、協会の35mlのオイルをおすすめしています。オイルの安全性や協会のご案内もしたうえで、希望者の分を私が一緒に注文して次回の教室の際にお渡ししています。」


保健師さんと協働で、不安感のあるお母さんに寄り添う


市の主催となるため、教室の告知は、岩野さんではなく伊万里市が行います。広報誌や、市が運営する子育てアプリに案内がでるほか、赤ちゃん訪問の際に保健師さんが案内チラシを渡してくれているそうです。ベビーマッサージ教室には、市の保健師さんが一人入ります。そこで体重測定ができるようになっています。お母さんたちの相談ごとには、保健師さんと二人で対応されているといいます。

「教室では事前に保健師さんから、気になるお母さん(産後うつ傾向、周りに頼れる人がいない方など)を教えてもらっているので、ベビマの後にお声がけしています。お話するなかで、親御さんの不安感に寄り添ったり、アタッチメントの大切さやお子さんとの遊び方のコツなどをお伝えしています。」


ベビーマッサージにアタッチメント・ヨガをプラスして、働くママを応援する

以前は、1歳を過ぎても教室に通われる方たちが多くいました。その方たちのために「キッズマッサージ」や「リトミック」を取り入れていたそうです。最近では1歳になると仕事復帰される方も増えてきたといいます。

こうした時代の流れに対応するために、この5月からは教室のプラスαとして、アタッチメント・ヨガの資格をいかして、ベビーマッサージとともに、ベビーヨガと産後ヨガを取り入れているそうです。


産後うつのお母さん支援のために始めた親子サロン「ぞうさんサロン」

岩野さんは、2012年からは同じく伊万里市の委託事業として親子サロンを毎月1回(10時~午後3時くらいまで)開催して、産後うつのお母さん支援もしています。

「『産後うつ傾向のお母さんたちの心の拠り所をつくってほしい』と依頼されたのがきっかけでスタートしました。補助金がでたので、環境を整えて自宅で始めました。うちは農家で、お米の提供ができたので、ランチとおやつを用意しました。みんなでお食事会をしたり、遠足に行ったり、誕生日会ではケーキをつくってお祝いしたりしてきました。転勤の方が多く、ご兄弟が生まれてもずっとみなさん長く参加してくれました。1年ほどは市の委託事業でしたが、その後は私が主宰となり、会費500円の参加で案内していました。」

2015年以降は、岩野さんの自宅が立ち退き区画になり、建て壊しとなってしまったため、この親子サロンも、ベビーマッサージ教室と同じ伊万里市民センターで行っているそうです。センターでは食事提供ができないため、お弁当持参で行っています。午前中のみの参加もOKなど、時間に自由度を持たせているそうです。最近は、年に2、3回、大人のマッサージ師をよんで、お母さんたちにもマッサージを受けてもらうイベントが人気だそうです。


しっかりと寄り添うために、サロンは少人数で開催

親子サロンには、毎月4組前後がいらっしゃるそうで、専用のグループラインはいま30名ほどが登録されているそうです。

「告知や募集などは行っておらず、ベビマ教室で気になったお母さんや赤ちゃん訪問での様子から、私や保健師さんがお誘いしています。産後うつ傾向の方たちのための場なので、少人数で開催する形をとっています。伊万里市がやっている子育てサロンもあるため、困り感の少ないお母さんにはそちらを案内しています。」

その後、岩野さんが、企業主導型保育園に転職され、園長職に就かれたため、現在のぞうさんサロンは、岩野さんのお知り合いの保健師さん、助産師さん、保育士さんの3人が、引き継いで担当されているそうです。

最終的に行き着いたのは、アタッチメントだった

こうした活動を始められる前、10年以上、幼児教育の世界で能力開発に携わってきた岩野さんが、最終的に行き着いたのは、「親御さんとお子さんの心のつながり、アタッチメント形成の大切さ」だったといいます。

アタッチメント・ベビーマッサージインストラクターとして活動を続けるなかで、いつも親御さんにお話しされていることがあるそうです。

「ベビーマッサージを通じて、赤ちゃんの時からしっかりとアタッチメント形成ができるように、お母さんたちに、いまお子さんの人間としての土台づくりをしていますよと伝えています。」


参加者が一組でも、ずっと続けるという信念で続いた13年

岩野さんがベビマ教室を始めた2011年に、教室に来ていたお子さんたちが、いま中学生になっているそうです。そのころのお母さんたちに会うと「ベビーマッサージをしていて良かった。」というお話になるそうです。

「ベビーマッサージ教室は、参加者が1人でも2人でも減ってもずっと続けるっていう信念を持ってやってきました。一番多くて20組限定で行っていた時もありますが、逆に一時期、ベビーマッサージが誤解されて大変なときもありました。その時は、書面で丁寧に説明をして理解していただけるように尽力してきました。コロナのときも極端に参加者が減り、1組2組のときもありましたが、ずっと続けてきました。これからもこの活動を続けていきたいと思っています。」



岩野しのぶさん(佐賀県)企業主型保育園・園長
            親子サロン「ぞうさんサロン」主宰

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