【ご活動紹介】看護師ママの院内ベビーマッサージ教室、月齢に合わせた月2回の教室運営が人気
看護師の奥成美さん。2018年に「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター」の資格を取得され、コロナ禍の落ち着いた2022年5月より、ご主人の産婦人科クリニックで月2回のベビーマッサージ教室を開かれています。
2023年には「ベビーキッズ・あそび発達」講座を受講し、それ以降は、月齢に合わせてクラスを2つに分けた運営をされているそうです。
ベビーマッサージだけでなく、親子あそびや季節の制作、ハンドメイド衣装での赤ちゃん撮影会、看護師への子育て相談もできると、つねに3か月先まで予約が埋まる人気ぶりです。
そんな奥さんから現在の活動についてご報告をいただきましたので、紹介します。
子育てで感じた挫折感
奥さんがベビーマッサージ教室を始めたきっかけは、ご自身の初めての子育てにさかのぼります。
「20代前半で結婚。神戸に引っ越し、知り合いのいない土地での新生活が始まりました。孤独を感じるなかでの妊娠・出産、子育ての日々でした。」
くわえて、一人目のお子さんが熱性けいれんをよく起こすこともあって、「外に連れ出して風邪でも引いたら」と極度に外出を避けるようになり、一時期、精神的にもかなり追い詰められていたといいます。
「いま振り返れば、かなりノイローゼに近い状態だったと思います。カレンダーに毎日数時間ごとの子どもの体温をびっしり記録していました。子どもが生まれるまでは自分の努力で何でも乗り越えることができた、自分の望みは努力すれば叶えられるものだと思って生きてきたのに、子育てはそうはいかない、その絶望感に打ちのめされていました。」
はじめてわが子をかわいいと思えた
そんな奥さんにある転機が訪れます。神戸市内の病院でベビーマッサージ教室に参加することになりました。
お子さんと向き合い、ベビーマッサージを始めると奥さんの気持ちに変化がうまれました。
「そのときに初めて、わが子を『かわいい』と思えました。それまでは、この子をちゃんと育てないといけないと思いすぎていて、そう思えていなかった。そこから子育ての風向きがいい方向へ変わっていきました。」
理事長の言葉が胸に刺さった
そうしたご自身の経験から「不安や悩みをかかえるお母さんたちの力になりたい」と、2018年に「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター」の資格を取得されました。
「日本アタッチメント育児協会のHPで廣島理事長の書かれた記事を読んで、子育てに対する考えに感銘を受けました。おこがましいかもしれませんが『自分の価値観と一致している』と思えたことが受講の決め手でした。」
コロナ禍が落ち着いた2022年春よりベビマ教室をスタート
その後、2022年5月よりご主人のクリニックで出産されたお母さんを対象に月2回のベビーマッサージ教室を始められました。お母さんたちには、退院指導の際にベビーマッサージ教室のチラシを渡し、希望者が予約を入れる流れになっています。
教室の流れ
教室は、第2・4火曜の月2回、参加費は700円。10時から始まります。
「一人でやっているので、きちんと目が行き届く範囲内でと考え、参加は基本的には6組までとしています。はじめに、全身のベビーマッサージを20分で行い、そのあとは、親子でできる運動遊びや制作、ハンドメイド衣装を着ての撮影会を行っています。子育て相談も含め、だいたい1時間半ほどで終了するようにしています。」
1度参加された方は、その場で次回予約を入れて帰られる方が多く、参加者全員がリピーターという回も珍しくないといいます。そのことからも教室への満足度の高さがうかがえます。
高いリピート率の秘訣は「また来たい!」と思ってもらえる教室内容
お母さんたちがはじめて奥さんのベビマ教室に申し込む際は、「自分が出産したクリニックのベビマ教室であること、看護師が担当していること」が安心材料となっているそうです。
いざ参加してみると、ベビーマッサージを通して子育てに関する学びがあり、あそびのヒントがあり、自分ではわざわざ用意できないような制作や写真撮影ができ、ちょっとした悩みでも親身に聞いてもらえる、悩みの内容によってはクリニックにつないでもらえる、通い続けているうちに、顔見知りのお母さんもできる・・・とお母さんたちにとって、まさにいいことづくめです。
「自分の中でも、また来たいと思ってもらえることを1番に考えてやっているので、リピートして来てくださる方が多くとても嬉しいです。ベビマ教室を通して、お母さん同士がお知り合いになってほしいとの思いがあるので、そのきっかけにもなれているかなと感じます。」
「あそび発達講座」を受講
ただ、その一方で、参加枠がリピーターの方で埋まってしまうと、新規の方が入れなくなってしまうこと、参加枠のなかで、お子さんの月齢の差が大きくなってしまうと、動き始めているお子さんのお母さんは対応が大変な場面があることが気になっていました。
そこで、奥さんは、月齢でクラスを分けて運営できないかと考え始めました。
「同じ0歳とはいっても、前半と後半とでは、赤ちゃんの動きやお母さんの悩みは全然違います。『ハイハイ以前』と『ハイハイ以後』でクラス分けしてみてはどうかと考えたときに、月齢による発達の違いをきちんと勉強したいと思い、2023年に『ベビーキッズ・あそび発達』講座を受講しました。」
0・1・2歳の発達やそれに適した「あそび」を具体的に学んだことで、より確信をもってクラス分けに踏み切れたといいます。また、「ハイハイ以後」のクラスのなかでは、講座で学んだことを親子あそびのなかで活かされているそうです。
はじめての方もリピーターの方も満足できる教室運営
現在は、第2火曜を「ハイハイ以前のお子さんのクラス」、第4火曜を「ハイハイ以後のお子さんのクラス」として運営されています。
「クラスを分けたことで、以前にくらべ、新規の方が『ハイハイ以前のクラス』に入っていただきやすい状況になりました。『ハイハイ以後』のクラスでは、『ベビーキッズ・あそび発達』講座で学んだこと、例えば、横回転でぐるっとまわるだけで体幹が整うと学んだことを、親子体操に取り入れて実践したりしています。」
わが子の発達は不安になりやすいもの
さらに、奥さんは「ベビーキッズ・あそび発達」講座で学んだ「子どもの発達」について、お母さんたちにも知識として知ってほしいと、資料にまとめラミネートして教室で読めるように置いているそうです。
「この時期に、追視ができるようになるとか、両眼視、両方の目で見れるようになるよといったことなど詳しく講義のなかで教えてもらったので、お母さんたちにも知ってもらいたいなと思って用意しました。」
ただ、どうしても発達に関することは、「できる/できない」という部分にお母さんたちの関心が向いてしまいがちだと感じるそうです。
「真剣に読まれる方が多いので、『知識として入れておくぐらいでいいと思います』とお伝えしています。ひとつのことができていないだけでも、不安になってしまう方が多いです。お母さんたちにとってわが子の発達はナイーブな話題だと感じています。個人差が大きいことを丁寧に説明して、お母さんたちが心配しすぎないように気をつけています。」
会報誌や育児セラピスト座談会を何度も見返している
奥さんは、これからも来てくださる親子のために、よりよい教室運営をしていきたいとお話されています。そのためにも、ご自身が日々学ぶ姿勢を大切にされているそうです。
「協会から届く会報誌やYouTubeで3か月ごとに配信されている育児セラピスト座談会は、勉強になるので何度も見返しています。教室のなかでも自分の子育てでもいかせることが多くあります。」
そして、奥さんが教室を続けていくうえで、心に留めていることがあるといいます。
「廣島理事長が以前に会報誌で伝えられていた、教室運営は横展開ばかりに目を向けず、「本物」を求める方向に舵を切らないといけない、という言葉です。本当にその通りだなと思い、自分の目指すべきところもそこだと思っています。」
これからも来てよかったと思ってもらえる教室を届けたい
今後は、クリニックのスタッフの力なども借りながら、「自分の教室を客観視する時間を持てるようにして、さらによりよくなるように掘り下げていきたい」とお話されています。
「お金と時間を割いて、赤ちゃんのご機嫌や生活リズムもあるなか、わざわざ寒い時も暑い時も来てくださる方に、よりよい時間を提供していきたいです。行ってよかったと一瞬でも思ってくれたらいいなと思うので、そういう教室であり続けることを目指して活動していきたいです。」
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