子育てでの経験がその後の大きな原動力に 12年間つづく児童館でのベビーマッサージ教室
東京都在住の西田知美さん。児童館でベビーマッサージ教室を始められて12年目になります。一番多いときで11か所の児童館で教室を開催し、多くの親子にアタッチメント・ベビーマッサージを伝えてきました。
さらに、4年前からは「ホームスタート」という家庭訪問型の子育て支援ボランティア活動にも力を入れていらっしゃいます。
そんな西田さんから現在の活動についてご報告をいただきましたので、ご紹介します。
ベビマを知るきっかけは我が子が寝てくれなかったこと
西田さんがベビーマッサージを知ったのは、娘さんの誕生がきっかけでした。
「よく泣く子で、寝つきもよくなかった」といいます。どうしたらいいのだろうと調べていくうちに、ベビーマッサージにたどり着きました。
そのときは、近くに会場がなかったこともあり、すぐには受講ができませんでした。その後、下のお子さんが生まれたのを機に、思いたち「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター養成講座」の受講を決めました。
受講してみると「赤ちゃんのためのマッサージ」というより、「お母さん、育児をする方の気持ちを癒したり、赤ちゃんとのコミュニケーションツールとしてのマッサージなのだ」と感じたといいます。
お子さんの反応に夫婦ともに驚き
早速、家でご主人にもやり方を伝え、絶対に西田さんの寝かしつけでないと寝なかった娘さんにご主人が試してみると、なんと、マッサージ中に娘さんがすっと眠りについたのだそうです。
それまでは、おっぱいをあげながら、おっぱいがはずれてからは哺乳瓶を吸いながらでないと、絶対に寝ることができなかった娘さんのその様子に、ご夫婦で驚き、言葉ではあらわせないほど感動したといいます。
マッサージは大切なコミュニケーションツール
現在は、中学3年生になった娘さんですが、西田さんはいまでも娘さんの手や足のマッサージをされているそうです。
「マッサージしながら話を聞きたりすると、思春期の娘ですが、リラックスしてよく話してくれます。その時間のおしゃべりが娘にとってもストレス解消になっているようです。」
教室スタートのきっかけは児童館での会話
そんな西田さんですが、葛飾区内の児童館でベビーマッサージ教室を開かれて、今年で12年目になります。
教室を始められたきっかけは、資格を取ってすぐ、子どもたちを連れて遊びにいった児童館でのこと。
職員の方にベビマの資格を取ったと話すと、すぐに「講座を開いている児童館があるので、ボランティアでベビマ教室をやりませんか?」と、とんとん拍子に話がすすみました。
口コミが広がり、11か所の児童館でベビマ教室を開催
はじめは、1か所の児童館だったのが、参加者や児童館の職員の方の口コミで広がっていき、多いときには葛飾区内の11か所の児童館で教室を開いてきました。
現在は、コロナ禍のため、そのうちの7館での活動となっているそうです。
オイルを使う場合は1時間の教室設定に
児童館によって、教室の内容は異なります。
有料の教室をやっている児童館の場合には、西田さんに講師料が支払われます。その講師料の中からオイルを購入し、オイルを使ったベビーマッサージを行っています。対象は、2か月から4か月の月齢のお子さんで1時間のクラスとしています。
無料の教室を行っている児童館では、オイルは使用しないベビーマッサージをしているそうです。月齢2か月から1歳までの幅広い月齢のお子さんを対象に、30分のクラスをやられています。
これまで、多いときで50組が参加したクラスもあったそうですが、いまはコロナ禍のため、教室の大きさに合わせ、参加人数を調整されながら開催されています。
パパに参加してもらうベビマ教室が人気
人気なのは、土曜または日曜に行う「パパと一緒にベビーマッサージを」というもので、10組以下の予約制で行っており、パパたちが積極的に参加されるそうです。
児童館によって、参加者のニーズが異なるため、西田さんはそれを汲み取りながら、ニーズに合わせた教室内容を児童館に提案されているそうです。
参加者同士でハンドマッサージをすると打ち解けた雰囲気になる
コロナ禍になる以前は、1時間のクラスでは、参加者の自己紹介のあと、ペアになってもらい、ハンドマッサージをしていたそうです。
そうすると、お母さん同士が打ち解け、すごくいい雰囲気になってベビーマッサージが始められるのだといいます。
いまは、コロナ禍でそれができないため、自己紹介の時間を長めにとることで、和やかな雰囲気をつくり、ベビーマッサージを30分、残りの時間を質問コーナーとしてすすめていらっしゃいます。
下の子の入院時、周りのお母さんの助けがありがたかった
以前、西田さんの下のお子さんが、1歳半のとき、先天性内反足の手術のため入院されたことがあったそうです。西田さんは下の子にかかりきりにならざるを得ませんでした。
そのとき、上の娘さんのお世話をしてくれたり、遊びに連れて行ったりしてくれたのが、周りのお母さんたちでした。
その経験から、同じように「困っているお母さんの助けになりたい」との思いを強く持つようになりました。
そんな思いを抱きながら、数年たったある日、葛飾区の広報誌で、お母さんのための傾聴ボランティア「ホームスタート」の記事を見つけ、「これだ!」と思ったといいます。
すぐさま申し込み、専門の研修を受けました。そして、ベビマ教室と並行して「ホームスタート」の活動も始められました。
「ホームスタート」とは、お母さんのお手伝いをするのではなく、お母さんの悩みを聞く。ただただ、聞いてあげるボランティアだといいます。
週に1回2時間程度、4~6回、申し込まれているご家庭を訪問されているそうです。
ホームスタートの活動でもマッサージを取り入れている
西田さんは、ホームスタートの活動のなかでも、マッサージを通した触れ合いを大切にしています。
訪問したご家庭のお母さんにハンドマッサージをしてあげると、「お母さんがリラックスして、話しやすくなる」と感じています。
赤ちゃんのいるご家庭では、お母さんと一緒にベビーマッサージをやることもあるそうです。
泣き出してしまったお母さん
西田さんのベビマ教室恒例のペアマッサージでも、こんなことがありました。
その方は、西田さんがお母さんたちにお手本を見せるとき、たまたまペアに選ばれた方でした。
西田さんはいつも通り、目を見ながら「子育て大変ですね」と言葉かけをして見本をみせました。
すると、その方は西田さんの「子育て大変ね」の言葉に泣きだされてしまいました。教室の後、西田さんは時間をとり、そのお母さんの話を聞くと、子育てで煮詰まっていた思いを吐き出されたといいます。
「やっぱりスキンシップをとっていたことで、そこで話すことができたのかなと。話すことができたのは、その方にとって良かったなって思います。」
寝ない子の相談にご自身の実体験を伝える
どの教室でも、ベビーマッサージのあとは、お母さんたちから子育て相談を受けることが多いといいます。
なかでも「子どもが寝てくれない」という相談が多く、「できる限りでいいので、スキンシップをとりながらやってくださいね。お母さんもリラックスすると赤ちゃんも寝ますよ」と西田さんご自身の経験を踏まえながら、お伝えしているそうです。
その子の個性をベビーマッサージを通して感じてもらいたい
発達障害の心配をされるお母さんからの相談もあり、「その子が過ごしにくい幼少期になってしまわないように、なるべくお母さんには早い段階で気づいてもらいたい。」との思いを西田さんは持っており、「そのためにも、毎日スキンシップをとりながら、ベビーマッサージを通してお子さんと向き合ってもらえたらと」とお考えです。
教室を長く続けるために
12年間にわたり、ずっとベビマ教室を続けてこられた西田さんですが、一番の秘訣は「無理をしないでやれたこと」だといいます。
「児童館によっては、月に1回や半年に1回の開催という場合もあり、スケジュールを自分の都合に合わせて決めることができたので、無理なく活動することができました。お子さんが小さいうちだと、家庭の方を重視して無理せずやっていく方が長続きするのではないかなと思います。」
自分のホームページをつくって個人のベビマ教室を開いていきたい
いまは、コロナ禍のため、児童館でのベビマ教室がストップしている状況があるため、西田さんは、今後は、要望があれば出張講座を行いたいと考えられています。
そのために、教室のホームページをつくり、予約がとれるようにシステムを整えていきたいとの意向をお持ちで準備をすすめられているそうです。
西田知美さん(東京都)
≪活かしている資格≫
アタッチメント・ベビーマッサージ インストラクター
育児セラピスト前期課程(2級)
最近のコメント