いま幼児教育に求められるのは非認知スキル

いま親の思いは、教育に向かっている

いま幼児教育に求められるのは非認知スキル

少子化を迎えた今、幼児教室が再び注目を集めています。一人の子どもに注がれる親の思いや注目が、より大きくなり教育に向かっているのでしょう。高いIQ(知能指数)の獲得、お受験対応、幼児英語、能力開発など、いまや親たちは、目的に合わせて様々な幼児教室を選ぶことが出来ます。そして、保育園や幼稚園の他に、何かしらの教室に通うことは、もはや珍しいことではありません。そうした親たちの共通の願いは、「子どもの将来に有利な能力や資質、学力を身に付けさせてあげたい」というものでしょう。

しかし、そうした親の思いが、その後の子どもの将来において達せられるかどうかは、わかりません。親たちは皆「そうなる」と信じて、子どもを通わせます。果たして本当に、幼児教室や習い事に通わせると、将来「デキる子」に育つのでしょうか?

最新研究からわかってきた幼児教育の新事実

最新研究からわかってきた幼児教育の新事実

教育学や脳科学、経済学における近年の研究結果を見ると、IQ(知能指数)やお勉強の先取り学習、あるいは能力開発といった「これまでの幼児教育」の価値観は、どうやら見直す必要があるようです。

例えば、幼児期に高いIQを身に付けても、その後にわたってそれが維持されることはなく、ほとんどの場合4年以内に追い付かれ、その年齢帯の標準IQに落ち着きます。先取り学習についても、最終的にはどこかで追いつかれてしまい、優位性は長くは続きません。能力開発だって、その特殊能力が学力向上につながるのか、あるいは将来役に立つのかは、わかりません。これらIQや先取り学習、能力開発などを近年の教育学では「認知スキル」と総じています。研究によってわかってきたのは、こうした「認知スキル」の優位性は、その時だけ、あるいは長くは続かないということです。

生涯にわたるアドバンテージをつくる非認知スキル

これに対して性格や性分、ものの考え方、捉え方、取り組み方などを総じて「非認知スキル」と呼びます。そして、将来の学力やその後の仕事の能力、あるいは年収に影響を与えるのは、この「非認知スキル」だったのです。幼児期に身に付けた「非認知スキル」は、生涯にわたる優位性を生むというのです。これは、アメリカやオーストラリアの研究者による20年あるいは40年という長きにわたる追跡研究によって導き出された結論です。

心理学の世界で、半世紀前から語られてきたこと

ところで、教育学、脳科学、経済学におけるこの新事実は、心理学の世界では当たり前に語られてきたことなのです。これは、私の解釈が入ってはいますが、ボウルビーのアタッチメントも、ピアジェの認知発達論も、エリクソンのライフサイクル理論も、幼児期の身に付けたパーソナリティの重要性を頭の出来や学力、向学心と結びつけて結論づけているのです。そして、そうしたパーソナリティの上に、ようやく認知スキルと言われるような「お勉強ごと」や「知識」が乗っかり、パーソナリティをさらに方向付けるのです。この「心理学の当たり前」は、近年になって教育学、脳科学、経済学の各分野で、科学的根拠を持って、立証されるようになったのです。

幼児教育は、いま再定義され、本質に向かう

幼児教育の世界は、これまで当たり前とされてきたメソッドややり方を再構築することを迫られています。これまで大事にされてきた「できること、できるようになったこと」といった認知スキルは、幼児教室や習い事で個々に身に付ける最重要科目ではなく、パーソナリティ形成において、心の成長とともに身に付ける「発達」の一要素として捉える必要があります。

幼児教育は、育児であり、保育であり、子育て支援になっていく

つまり、これからの「幼児教育」は、子育て支援の土壌や、育児セラピストの文脈で、「発達」の取り組みとして行われるものだということです。平たく言えば、「豊かな非認知スキルを育みながら、それに見合った認知スキルを獲得する」ということです。

そのためには、心理学に精通し、さらに非認知スキル、認知スキルの獲得についての知識を持ち、それを実際の子どものアクティビティとして提案し、お母さんと子どもを導くことが出来る知識とスキルが必要となります。「プレスクール・あそび発達」は、そのための講座です。

これまで子育て支援の現場では、あまり語られることのなかった「教育」を、保育園や子育て支援の現場で実践してみませんか。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ