不登校:子どもの『いきたくない!』にどう対応する?②

不登校を経験したお母さんの体験談

①M.N.さんの体験談

私には、現在小学5年生になる息子がいます。息子が1年生だった頃、5ヶ月くらい不登校を経験しました。

不登校になった理由は、「担任の先生が他児童を叱責する声がこわい」「教室のザワザワする音がこわい」「他児童の行動や言動が理解できない」「勉強が簡単でゆっくりすぎる」といったことでした。

『息子は幼稚園の年長でASD(自閉スペクトラム症)と診断されていて、不登校になった時期に知能検査(wiscⅣ)をしたところ、4つの指標のIQ差が最大で50近くあるという結果でした。一番高い指標では150くらい、一番低い指標では100くらいでした。「単にIQが高いだけと思えるかもしれませんが、本人の中では高低差が激しくかなり生きづらいだろう」ということでした。

「実年齢は小学1年生でも、頭の中は一部6年生なので、学校がつまらない、行きたくないと感じるのは当然のことです。他児童とも話は合わないでしょうし、不登校になるのは仕方ないでしょう。」とも言われ、そういうことだったのか、と腑におちました。

不登校になってからは、外部との接触を絶やさないようにしました。息子本人が、「ここなら安心していられる」という経験を増やして欲しかったのです。

また、息子が話すことを徹底的に聞くようにしました。どんなことを不安に思っていて、どんな意思をもっているのか。ただ、その気持ちを言葉にするにはかなりの時間を要しました。時には1時間もじっと、話し出すのを待つこともありました。

不登校がどんな形で終わったのかは、2年生へと学年が変わる時でした。いよいよ不登校生活に本腰をいれようかというところでしたが…

「今自分には、学校に行くメリットの方が大きいと思うから、学校に行くよ。」と言って、あっさり戻ることになりました。

語りきれないくらいの紆余曲折があったし、衝突もして喧嘩もたくさんしたのだけれど、一貫して「何があっても味方であること」、「絶対に見捨てることはしないこと」、「家族はあなたのことが大好きだということ」、「発達障害うんぬん、giftedうんぬんを抜きにして、生きててくれるだけで嬉しいこと」をずっと伝え続けてきました。

数年経って、不登校生活を本人と振り返り話すことがありましたが、

「ずっとお母さんの心が側にいてくれたから、安心できた。たくさん話を聞いてくれたから、分かってくれてると思えた。だから(学校に行っても)大丈夫かもしれないと思った。」

と言ってくれました。

不登校生活中は、先の見えないトンネルの中にいるようでしたが、息子にとっては自己理解を深め、その先に繋げていく機会となったようです。


②M.K.さんの体験談

つい先月の出来事です。娘が小学校4年生になり、初めて「学校に行きたくない」と言い出したのです。行きたくない理由は明らかで、彼女の持っている1型糖尿病と言う個性のためでした。

毎年、進級した時に、保護者の方には懇談会で私から1型糖尿病があること、その為に日常生活で気を付けていること、配慮して頂きたいこと等を説明させて頂き、子どもたちには担任の先生から伝えてもらう事になっています。

しかし、学年が進むにつれ、それを伝えたらクラスメイトから「あの子そう言う子だったんだ」と思われるのではないか、と言う彼女の中の不安が強くなり、それが理由で行きたくないと言うことでした。

その時の対応方法は、兎に角話を聞く。気持ちを受け止める。これを意識的に行いました。ただ、同時にこのまま行けなくなるのではないか…と私自身が不安になり、キツいことを言ってしまったりもしました。

元々、学校が全てではないので無理に行かなくても良いとは思っていたのですが、実際そうなってみると話は違いました。思った以上に不安と焦りが私の中に出てきてしまったことに驚きました。一回休むとずっと行けなくなってしまうのではないか、その先はどうなってしまうのか、学校に行けなくたって子どもを信じていれば大丈夫だと言うが、本当に大丈夫なのか…

この先も、また同じような事が起こるかも知れない。その時は、どうしたら良いのかと悩みます。


③S.Y.さんの体験

私には小学1年生になる息子がいます。息子はこども園の頃、朝、涙をポロポロ流して、「行きたくない」と言うことがありました。

そんな時、私は「お休みしていい」とは言わないようにしています。そして、まずは子どもを抱きしめて、話を良く聞くようにしています。話を聞いてみると、内容はその時によって様々ですが、「○○ちゃんが意地悪するから」や「ピアノが上手に弾けないから」など、理由は園にいる時間の数分~何十分かの出来事だけで、大人が少し介入してあげれば解決して、また楽しく通えそうな内容ばかりのように感じました。

話をある程度聞いた後、私は子どもと約束します。今聞いたことを先生に伝えること、そして、子どもが困っていたら、助けてもらえるようにお願いすること、です。

あとは出来るだけ早くお迎えに行くと伝えます。小さい頃は、遅いお迎えが続くとこうなってしまうこともあったので、母との時間を欲しているのだと反省しました…

小学生になって、いまのところ「行きたくない」ということはなく、楽しく通うことができています。もしかすると、今後「行きたくない」と言ってくることがあるかもしれませんが、きちんと息子と向き合って一緒に解決策を考えていきたいと思っています。


次ページ「③不登校についての理解を深める」へ続く

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