お悩みSV⑨・福岡会場:「5歳の園児の自慰行為、どう対応したらいい?」

恒例!お悩みスーパーバイズ 2021

スーパーバイズとは「今抱えている問題・悩み」をグループごとに話し合ってもらい、それに対して当協会理事長の廣島のスーパーバイズのもと、参加者全員からも意見をもらう、というものです。

グループ9: 福岡会場

「園の5歳の女の子の自慰行為が心配なのですが、どう対応したらよいかわかりません」

保育士さんからのお悩みです。しょっちゅう椅子をつかって自慰行為をしてしまう5歳の女児がいます。そのことを、強く叱ったり、無理に禁止したりしてはいけないと聞いたことがあります、とのこと。 ちょうど同じ福岡会場の保育士さんが、同様の経験をされていたので、その時の話をお聞きしました。

家庭背景に問題があるので、園でのアタッチメント対応をはじめた

家庭背景として親御さんの夫婦仲がうまくいっていない背景がありました。お母さんは看護師さんで、かなり忙しかった。当該の園児は2人娘の長女で、家庭ではあまりかまってもらってない様子が確認できました。親御さんの協力を得るのはむずかしいと判断し、園のほうでできることをする方針をかため、「保育園でのアタッチメント」をテーマにしました。 その際、こうした自慰行為を無理やりやめさせる方針の先生もいたので、園全体ではやらずに、ひとりの保育士が担当して対応することにしました。 具体的には、自慰行為があったときに「さりげなく、こちらに呼んで、絵本を読んだり、スキンシップと取る」というように、本人にはわからないように、自慰行為をやらないように、気をそらすようにもっていきました。本人のさみしさを埋めてあげるような関わりをしたところ、自慰行為は軽減していきました。

自慰行為は、気をそらして別のアクティビティと置き換える

この対応は、とてもよかったと、わたしも思います。自慰行為を意図的にやっているわけではないので、叱ったり無理にやめさせたりすれば、逆に悪化するでしょう。「気をそらして、別のアクティビティにもっていく」というのが望ましい対応です。これは、他の子のおもちゃを取ってしまったときと似ています。本人に悪気はない発達段階の子には、「気をそらす」のが有効なのです。

いつも決まった先生が、アタッチメントを満たす

もう一つのポイントは、園でアタッチメントの対応をするときに、ひとりの先生が、いつも対応していた点も重要です。保育園であることもよかった点です。毎日その子は登園しますので、家庭での取り組みを期待できなくても、園は、第二の家庭の役割を果たしやすいからです。

この女児は、親からかまってもらえてない、つまりアタッチメントが満たされていないことが、自慰行為の根本にあります。お母さんが慰めてくれない、だれも慰めてくれない。その結果、自分で慰めるしかなかった。それが自慰行為です。そこへ、保育園の先生が、毎日アタッチメント行動に応えてくれれば、やがて自分で慰めることは少なくなります。満足すれば、行為はなくなるはずです。

さらにいえば、マッサージをしてあげる行為は、慰めの先の幸せや安心を与える行為なので、自慰行為の減少だけでなく、自己肯定感や好奇心といったもっと先の変化も期待できます。

グループ1
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