コロナ禍だから大事にしたい 「親子の密」
ひとと触れ合うこと、べたべたすること、べちゃくちゃしゃべること。コロナ禍のいま、そうした行為は、はばかられています。ひとと一定の距離をとるのがあたりまえ。レストランに行けば、対面側には透明のボード。われわれの心には、「密」に対する“リミッター”が知らず知らずのうちに働くようになっています。社会としては、それが正しいことで、望まれることでもあります。
問題は、好むと好まざるにかかわらず、われわれの“リミッター”は働いてしまうことです。子どもが「おかえり~」といってかけよってくる。すぐにも抱っこしたい…と思うより先に、「手を洗って着替えなきゃ!」と反射的に思う。思考よりも先に想起される、まさに自動思考、スキーマです。
コロナと付き合っていく以上われわれは、この“リミッター”と折り合って、生活をおくるよりほかはありません。家の中だろうが、外だろうが、会社だろうが、出先だろうが、どこにいても、“リミッター”という心の作用を、もはや止めることは不可能です。
そんないまだからこそ、声高にさけびたいのです。
「子どもと、密をつくる」
もし感染していたら家族にはうつさないようにしなくてはいけない。そんなご時世に、語弊があるかもしれません。それでも、言おうと思います。コロナ禍だからこそ、家族くらいは、べたべたくっついて、べちゃくちゃしゃべるアタッチメントタイムを大事にしてほしい。リミッターを意図的にはずしてほしい。
感染しないように、最大限の対策をするのは当然です。それでも100%の安全なんて望めません。外に出れば、大人も子どもも、ウィルス感染のストレスにさらされています。そんな状況だからこそ、家族のあいだでは、家の中では、コロナを忘れて、安心して、アタッチメントタイムを享受することに優先順位を置く。コロナ禍だったとしても、スキンシップの重要性は変わりません。家族の密は、張り詰めた心を癒してくれます。
家族に病気の方や、お年寄りの方がいるなどの個々の事情を考慮しても、ご家庭ではとくに、お子さんとだけでもスキンシップを意図的にとることを考えてほしいのです。
赤ちゃんなら、ベビーマッサージ。幼児期のお子さんなら、親子あそび。小学生なら、食卓の会話。これまでは、当たり前にやっていたことが、コロナ禍では、意識されずに追いやられてしまっていないでしょうか。「密はよくない」との考えから、意識的に躊躇してしまってはいないでしょうか。
子どもにとって、家族と密になれないストレスは、われわれの想像以上です。意図的にリミッターをはずして、お子さんとのスキンシップとアタッチメントタイムを優先順位の一番上にもってきてみてください。
ちいさいお子さんのいるご家庭での「親子の密」は、自粛する必要はありません。むしろ、コロナ禍だからこそ、大事にしなければなりません。
わたしたちは、これからもコロナとうまくつきあっていかなければなりません。だからこそ、“アタッチメントを育む”という大切ないとなみを見直してみませんか。