育児セラピスト全国大会「10年後の子育て環境を考える」
03:パネルディスカッション「10年後の子育て環境のために、いまできること」
ここでは、シークレットゲストとして、なんとタレントの清水国明さんにお越しいただきました。国明さんとは、知人を介して知り合わせていただき、奥様は、じつは育児セラピストトレーナーでもあるんです。そんなご縁もあり、また、いま国明さんは「多毛作倶楽部」という活動をしていて、一年のうち182日を仲間と共に遊んで過ごす「一人十色の人生」!というのをコンセプトに、この活動を全国展開しています。そのPRも兼ねて、ご出演頂きました。
パネルディスカッションでは、先ほどの寺下先生から心療内科医のお立場から、問題的を頂き、また貴重なご意見を頂戴しました。
テーマは、やはり、心に問題を抱える患者さんにおいて、多くの場合に幼少期の親子関係のズレを根底に抱えていますが、そのズレをいかにして修復するかということでした。
国明さんは、ご存知のとおりアウトドアの達人でして、さらに子育てに関しては、現在3歳になったばかりのお子さんの子育て真っ最中の現役パパでもあります。そんな立場から、ご意見を頂きました。
子どもが一芸に秀でるためには、その前段階で、いろんな経験をしなければいけない。自然というのは、そうしたいろんな経験の宝庫で、自然は、子どもにとって必要な学びをすべて経験させてくれる、とおっしゃっていたのが印象的でした。
続く淑徳短期大学 准教授の細井 香さんは、同大学で保育士養成を行なっている立場から、いま保育士になろうとする学生にとって必要なことや、10年後の彼女たちが、保育士として活躍しているために必要なものについて考える機会をもらいました。
そして、一般財団法人日本キッズコーチング協会 代表理事の竹内エリカさんは、子ども達の表現力が乏しくなっていること、そして、元気がなくなっていることを問題点として指摘してもらいました。
子どもが自由に表現力や想像力を発揮できれば、もっともっと元気になる。そんな機会を増やせば、10年後の子育て環境は、とっても楽しみになるはず、とおっしゃっていました。
乳児院しらゆりベビーホーム施設長の島田 恭子さんは、児童福祉の立場から、虐待が親子間で連鎖的に起こっている現実を問題提起していただきました。
それに対して、アタッチメントの観点から、虐待をとがめるのではなく、そうしてしまう親を認めてあげて、そのまま受け入れてあげることで、「虐待の親子間連鎖」を「アタッチメントの親子間連鎖」に変えようではありませんか!という頼もしいお言葉で締めて頂きました。
最後に、ホリスティックケアサロン リエゾン代表の大塚一恵さんは、お母さんの心が疲れすぎていて、子育てどころではない、子どもに愛着を与える余裕がない、そんな理不尽さに打ちのめされそうな現実についてお話頂きました。
そういう状況だからこそ、理想を語りあい、キラキラ光る子育ての未来を信じあえる仲間の大切さを語っていただきました。
このパネルディスカッションを通して、10年後の子育て環境に対して、大きく3つの軸が出てきました。
1.教育 ・ 2.癒し ・ 3.環境
教育では、子どもの教育と共に、親教育も含めてそれぞれ重要になってきそうです。子どもが学ぶためには、親が子どものことを、子育てを学ぶことは、避けて通れないことではないでしょうか。
癒しというのは、親が子育てをする上で、もっともっと癒される必要があるという意味です。癒されるというのは、アタッチメント的に言えば、認められること。大好きだよと言ってもらうこと。心配ないよと導いてもらうこと。私だって同じだよ、と共感してもらうこと。そんな癒しの輪を広げることが必要不可欠でしょう。
最後に環境です。これは、私の主観も入りますが、上記の教育や癒しを親に与えて上げられる「育児の専門家」が、どの地域に行っても、身近なところにいて、見守ってくれる環境です。
それらがあれば、10年後の子育て環境は、とても明るく輝いていて、そこで育つ子ども達は元気いっぱいで、想像力にあふれ、知的好奇心に満ちて、目的に突き進むことでしょう。
そんな10年後を、われわれは描き、明確にイメージしたパネルディスカッションでした。