ランチ・お悩みスーパーバイズ in 2020
グループ3:エスカレートするお母さんの要求と保育の質は、どこで折り合うの?
発表は、愛知県から参加の高橋さんからの保育に関する質問でした。
親の質が変わってきて、親が保育園に求めるものや、お母さんの保育園との付き合いも変わってきています。中には、自分が楽しむために保育園にあずけるお母さんや、ネグレクトをうたがってしまうようなお母さんもいます。保育士としてのわたしたちの思いは、子どもたちによい保育を提供したいということです。しかし、その思いと、お母さんたちの要望が折り合わないことも多いのが現実です。
これについて、横浜市で子育て支援事業をされている長田さんのお話。横浜市は、裕福な層も多く、まさに自分ために保育園にあずけるお母さんは多いです。そうしたお母さんに正論を言っても、「そうですね」で終わってしまうことも多い。逆に、保育士さんの未熟さが問題になることもあります。そうした中で、長田さんのような地域子育て支援の立場が、第三者的に介入していくことも必要になっている、と言います。これからは、お母さんと保育士と子育て支援、つまり家庭と保育園と地域がひとつになって、子どもを育てていく時代なのかもしれないと感じます。答えは、そこにあるような気がします。
同じ地域で保育士をする長谷川さん。オムツをはずすのを保育園にまかせるお母さん、離乳食指導をしても、できないから保育園でやってくださいと言うお母さんがいるそうです。要求は過剰だけど、協力はしてくれない。何か起これば、責任を追及してくる。そんなお母さんが増えているようです。会場の方々が一様にうなずいているのを見ると、まんざら特殊事例ではなさそうです。
こうした状況の背景には、お母さんたちのストレスが見え隠れします。心の余裕がなくなっている。追い詰められている。大事にされていない。だから、誰かほかの人に同じ仕打ちをしてしまうのでしょう。悲しいマウンティングの連鎖と言えます。
これに対応できるひとつの光明は、パパたちの変化でしょう。今回参加してくれた5人のパパのように、子育ても家事も二人でするのが当たり前の夫婦なら、悲しいマウンティングは生じません。
もう一つは、アドラーの目的論で考える解決法です。人が病気になることにさえ、その人の目的がある。その真の目的こそが、解決の糸口なんだというアプローチです。すると見えてくるのは、マウンティングするお母さんの目的は、「大事にしてほしい」「認めてほしい」です。そこを保育士の立場や子育て支援の立場から満たしてあげることは、解決のひとつとなるでしょう。
宮崎県の野崎さんの園では、10年以上前からベビーマッサージ教室をやっています。続けて行くなかで、明らかに良い変化を感じているそうです。1つは、ママと保育士と園との関係性。それから、パパの参加度アップです。そして、クレーマーゼロの園を実現されています。この話は、グループ1の話とつながります。「すべての園でベビーマッサージを!」これは、長期的な意味で、今回のグループ3のお悩みの解決策となります。クレーマーゼロだけでなく、保育の質もよくなり、よいエネルギーが循環するようになります。