「夜泣き」が再開してしまったら心のケアが必要なのでしょうか
廣島理事長に聞いてみよう!
Question
現在、二児(長男が5歳、次男が2歳)の母です。昨年の4月に転勤の都合で引っ越しをしたのですが、その頃から長男が時々「夜泣き」をするようになりました。保育園が変わったからなのかな?と思ったのですが、長男自身は「保育園は楽しい」ようで、行くのを嫌がることはありません。2歳の時に治まった「夜泣き」が再開するとは思ってもいなかったので、何か「心のケア」が必要なのかなと不安に思っています。
(愛知県/P.N.ひとみ)
Answer
今号のコラムにも通ずるご質問ですね。転勤とのことですので、生活の拠点が変わり、それに加えて保育園も新しくなっています。その変化たるや、5歳の息子さんにとっては、大変大きな変化だったことでしょう。
さて、息子さんは、そんな大きな変化を、ある面では「刺激」と捉え、それを楽しむことが出来ているようです。エネルギーのある日中は、エキサイティングに過ごしているのでしょう。それが「保育園は楽しい」に繋がっているのだと思います。
一方で、夜泣きが時々再開したというのは、保育園でエキサイトしている様子とは、全く逆の反応のようにも見えますね。しかし、両者には、相関性があるのです。ここでは、変化がもたらす「正の作用」と「負の作用」としておきましょう。エネルギーのある日中は、変化に対して、勇気をもって挑み、そこから得られる興奮や刺激を「楽しい」と感じます。これが、正の作用です。
一方、家に帰って、お母さんと過ごしていると、昼間の反作用として、安心を求めます。心の充電のようなものです。その表現の一つが夜泣き、つまり、変化がもたらす負の作用です。しかし、これは決して悪いことではありません。
「夜泣き」という言葉でくくってしまうと、2歳の時に戻ってしまったと、お母さんは感じてしまいますね。でも、赤ちゃんの時の「夜泣き」と、今回の5歳の「夜泣き」は、全く意味合いが違います。赤ちゃんの夜泣きは、生存本能です。赤ちゃんが、安心して、安全に生き抜くために、お母さんに守ってもらおうとするシグナルです。一方、今回の夜泣きは、冒険と挑戦を重ねた末に求める安心と安全であり、いわば「がんばったご褒美」のようなものであり、「心の充電」です。同じ夜泣きでも、全く違うのです。今回の「夜泣き」は「成長の証」ですので、全く心配はいりません。むしろ、息子さんは、非常にうまく大きな変化に適応できていると言えます。
それをわかった上で、お母さんは、どんなケアがしてあげられるか、ということですね。息子さんが夜泣きをしたら、「ギュッと抱きしめてあげる」、落ち着くまで、泣きやむまで。それと共に、日常で出来ることとしては、やはりスキンシップなんですね。服を着たまま、腕や脚をマッサージしてあげたり、一緒にお風呂に入った時に、湯船でギュッとしてあげたり。今日、保育園であった冒険の話を聞いてあげるのも、効果的な心のケアになります。
このように、子どもの問題行動は、成長の証だったりします。問題行動が起きたら「また成長したか」と考えてみてください。問題行動の見え方が変わるかもしれませんよ。
一般社団法人 日本アタッチメント育児協会
代表理事 廣島大三