子どもの能力を伸ばすカギは、親が握っている(2)

 前回の幼児教育の話の続きです。もともと子どもが持っている能力を伸ばしてあげるのが、幼児教育だという話でしたが、実際には、どういうことが起こっているのでしょうか  お受験のための幼児教育、つまり「塾」で、実際に行われていることは、「伸ばしてあげる教育」とは違う場合が多いのではないでしょうか。一見すると、社会性、協調性、想像力、基礎学力を育てるという点で、同じに見えますが、決定的に違うところがあります。  それは、「伸ばす」のではなく、「教えている」ことです。子どもたちの中に、もともと持っている能力を、個性豊かに伸ばしてあげるのではなく、「お受験」に合格する傾向を、大人が分析して、「モデル」を作り上げて、それを教え込んでいる点です。もちろん、個性に対応している場合もあるでしょうが、それでも、大人が描いたモデルを演じさせる限りにおいては、同じことです。これでは、お受験に合格はするかもしれませんが、本当の意味での「能力」は身につきにくいと言えます。  簡単にいえば、知識としての技術は身に付けているけど、それは、「能力」ではないので、子どもは、別のシチュエーションで、身に付けたことを使うことはないのです。つまり、応用力がないということになります。  「知識としての技術」を否定しているのではありません。学童期を過ぎて中学生くらいになると、知識を頭の中で解釈して、論理的に応用する能力が、急速に発達します。そういう時期になってからであれば、知識をスポンジのように吸収して、それを能力として応用していくことができますから、知識の詰め込みには、大きな意味があります。  でも、幼児期~学童期には、知識詰め込みタイプの教育や、ペーパーテストタイプにお勉強は、能力にはつながらないということなのです。なぜかと言いますと、この時期というのは、「実体験」をともなった経験の中で学ぶ時期だからです。つまり「遊び」です。基礎学力の構築でさえも、子どもにとっては「遊び」の延長として身に付けるものなのです。ですから、「教える」のではなく「気付かせる」であり、「勉強させる」のではなく、「学べる環境を与える」ことが重要なのです。  幼児教育にしても、小学生の塾にしても、そこのところをわかった上で、子どもに取り組ませるのと、そうでないのとでは、かなり違うと思います。幼児教室や塾まかせにするのではなく、親がナビゲートしてあげられれば、塾に通っていようと、そうでなかろうと、良い塾に行ってようと、そうでなかろうと、子どもの能力を伸ばしてあげられると言っていいと思います。

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