親支援・親教育のために、何を学べば良い?
知識・理論を学びたいのか?実践スキルを学びたいのか?
「学ぶ」という行為は、思考系と行動系の二つに大きく分かれます。言い換えれば、「理解したいのか=知識・理論」「行動したいのか=スキル・メソッドの修得」となります。みずからが、どちらを志向しているのかを考えるのは、学びの第一歩と言えます。
2つの要素は、最終的に両方とも必要となります。そして、どちらから先に入っても大差はありません。その人の好みと相性です。わたし自身は、知識・理論・体系から入って、それを具体的なメソッドやスキルに落とすことが多いです。
あえて言うなら、子育て支援は、他者が相手なので、まずは構造や体系を理解して、それから行動のためのスキルを身につけたほうが効率が良さそうです。ヨガなどは、内面の自己との関係なのでこれが逆で、まずは実践してみて、あとで理論を学ぶ方が、気づきや発見が多いでしょう。
親への対応を学ぶためにおススメの講座は?
「親への対応力を磨くためには、どの講座がおススメですか?」これは、受講生からよく聞かれる質問です。わたしがそう聞かれたら、「育児セラピスト後期課程(1級)」、「アタッチメント心理カウンセラー」、「子育てマインドフルネス」の3つを迷わず挙げます。
知識・理論・構造を学ぶなら「育児セラピスト後期課程(1級)」の右に出る講座はありません。アタッチメント理論と発達心理学を専門領域まで学ぶことができるので、目の前の相手に起きている心理的背景の見立てが深まります。さらに、社会学では、コミュニケーション論から、家族・夫婦の成り立ちまでを体系的に学ぶことで、構造を手に入れることができます。おまけに、このカリキュラムには、コフートの自己心理学による対人援助法(カウンセリング技法)も含まれているので、実践的なスキルも身につきます。「親への対応力を身につける」というコンセプトに、はじめて取り組むなら、これが、最良の選択肢といえます。
無関係に見えて、じつは対の双子になっている講座
「アタッチメント心理カウンセラー」と「子育てマインドフルネス」、この二つの実践スキル講座は、じつは一対の役割を果たすもの同士です。前者の心理カウンセラーは、理論を身にまとった実践スキル、後者のマインドフルネスは、理論を超えた領域の実践スキルという言い方ができるでしょう。互いが互いの裏側を支えているとも言えます。ふたつを組み合わせることで、あらゆる場面、状況、状態に対応できる親対応が可能となります。
「アタッチメント心理カウンセラー」は、アタッチメント理論によるカウンセリング手法である「メンタライゼーション」をベースにしています。この手法は、職業カウンセラーや心理療法家だけでなく、看護師やその他分野の専門職あるいは、職場での人間関係で、一般の人でも活用できることを想定しているものです。同時に、アタッチメント理論の集大成のような位置づけとなっており、対人関係において、アタッチメントを活用するためのスキルであるとともに、マインドフルネス瞑想も、メソッドに含まれます。ふたつを組み合わせることで、あらゆる場面、状況、状態に対応できる親対応が可能となります。
「子育てマインドフルネス」は、医学としてのマインドフルネスを学ぶもので、ストレス研究の権威である早稲田大学人間科学学術院教授の野村忍先生と、インドヨガ講師の森田尚子先生に監修していただいた骨太の内容です。マインドフルネスによって、脳の状態に実際に変化が現れ、ストレス状態が改善するメカニズムを知ったうえで、実技メソッドは、「Begin(はじめる)」・「Do(続ける)」・「Enjoy(楽しむ)」という3つの段階を設定し、マインドフルネス入門者が、始めてみて、それを習慣化し、楽しみを見出せるように作っています。最終的には、マインドフルネスを楽しむ姿勢が出来上がり、子育てを楽しく、人生を楽にしてくれる、なくてはならない日常の一部となることを目指します。
ふたつを組み合わせることで、あらゆる場面、状況、状態に対応できる親対応が可能となります。
その充実感を一度覚えると、学びをやめることはできなくなる
きょうは、「親への対応力を上げるためには、何を学んだら良いのか?」をテーマに、「育児セラピスト後期課程(1級)」、「アタッチメント心理カウンセラー」、「子育てマインドフルネス」の3つの講座について語ってみました。
このように、講座と講座の関係や役割を知っておくと、いまの自分に必要な学びを知る際のヒントになるかと思います。当協会のすべての講座は、アタッチメントという一つのテーマでつながっています。
ひとつを学んで、次を学ぶと、前に学んだことがより深く理解できる。さらに学ぶと、世界観が見えてくる。もっと学ぶと分野の専門家の領域が見えてくる・・・。そうして、学びは広がりを見せ、深まり、いつしか自分の体の一部になります。そうして身についた学びは、決して身からはがれることはなく、自分の一部として蓄積され、仕事や人生そのものを彩ってくれます。その充実感を一度覚えると、学びをやめることはできなくなり、ステキな循環が始まります。ようこそ、学びの世界へ!
一般社団法人日本アタッチメント育児協会
理事長