まずはやってみる ~ 感覚運動知能 と メタ認知 ~
先日面白いことがありました。
協会の事務所には、小さなベランダがあります。朝のそうじのときに、そのベランダから、手持ち用のモップの先(モップ部分)を落としてしまいました。
モップは、下の階の雨よけの上に落ちました。そこは、手をのばして届く場所ではなく、でもあと30cm手が長ければ、届きそうな位置関係でした。
さて、このモップをどうしたものか・・・と考えました。
事務所は2階、下はビルとビルの間で、人が通れる程度のすきまがあります。
最初に思いついたのは、このまま、モップをあきらめて、屋根の上に「放置にする」。しかし、これは、ゴミを放置するようで、気が引けます。何とか回収したいところです。
そこで考え付いたのは、棒を使って、モップを「下に落とす」こと。布のかたまりなので、落としても危険はありません。そして、それを拾いにいく。しかし、うまく、地上に落っこちてくれないリスクもあります。
次に、「棒を使う」というキーワードから、新たな思い付きがありました。棒にモップをひっかけて、救出するのです。しかし、モップの形状を見ても、引っかかりそうな気配はありませんでした。
それでも、「ダメモト」で、やってみました。
棒でモップをあちこち突っつくも、やはり救出は難しそうです。
そんなことをしていたら、新たなアイデアが浮かびました。
「もう一本棒を持ってきて、日本の棒で、箸のようにしてモップをはさんで、引き上げて、もう一人の人がモップを救出する。
なかなか可能性は高そうです。(この時点で、私はワクワクしています。)
すぐにスタッフに頼んで、棒(持ち手の長い床用モップ)を持ってきてもらい、実行しました。
結果は・・・
見事救出成功です。
とまあ、これだけのことなのですが、これを通じて、私の脳の中では、とてもすごいことがおきていたのです。
まず、問題の認知行動により、その解決を試みます。
(問題の認識)
次に、感覚運動知能が働き、まずは「やってみる」ことをします。
(行動)
問題解決はしなかったものの、やってみた結果、それまでは思いつかなかった新たな解決法を思いつきます。そして、その方法を試したくて「ワクワク」してくる「メタ認知」が起こります。このワクワクは、私の前頭葉が活性化して、喜んでいる証拠です。
(行動の修正)
最終的に、問題は解決し、私は「やり遂げた」という満足感と達成感を得ます。
(問題解決)
そして、私はいま、このことをコラムに書いています。
これは、このような気付きを得た喜びと、次への向学心のめに、それを共有しようとしているわけです。つまり、次の学びへとつなげようとしているわけです。
これらのことは、私が、そうなるように計算して行動したのではなく、日常によくある風景を、発達心理学的あるいは脳科学的に説明したに過ぎません。
でも、脳では、これだけのことが行われている事を考えると、とてもロマンを感じます。そして、子どもたちは、このような脳内活動を、われわれ大人よりも、もっと活発に、毎日のように行っているのです。だからこそ、勉強だけでは得られない大切な学びがあるのではないでしょうか?