お悩みSV・オンラインCグループ「どうしたら、本当に必要な人、困っている人に支援を届けられるの?」
恒例!お悩みスーパーバイズ 2023
スーパーバイズとは「今抱えている問題・悩み」をグループごとに話し合ってもらい、それに対して当協会理事長の廣島のスーパーバイズのもと、参加者全員からも意見をもらう、というものです。
- どうしたら、本当に必要な人、困っている人に支援を届けられるの?
- グループで話し合って、SNSを活用したらよいのでは?情報量が多いと伝わらないのではないか?どこへアクセスすればいいのだろう?など、いろいろ意見も出ましたが、まとまらなかったそうです。
さてここで、わたしからの質問です。
「支援の手を届けたいお母さんというのは、具体的にどんなお母さんですか?」
答えは、「育児がつらいと感じてしまっているお母さん」だそうです。
さらに質問です。「そのお母さんは、なぜ育児がつらいと感じているのですか?」
答えは「お母さんによっていろいろです。」
わたしのアドバイスはこうです。グループにおいて、前提の置き方があいまいなまま、話し合いがなされてしまっています。そのため、まとまりがつかずに終わってしまったのでしょう。こういう問いに対しては、「育児がつらい」の理由をいくつか定義して、話しを具体化する必要があります。同じ「育児がつらい」も、たとえば、こんな想定ができます。
「夫が何もしてくれなくて、精神的にも物理的にもつらい」
「人に助けてもらうのが苦手な性格で、孤立してしまってつらい」
「フルタイムで働いていて、物理的な時間がなく、体力的にもつらい」
同じ「育児がつらい」なのですが、それぞれ、悩みの根本が違います。つまり、三者は、まったく違う悩みなのです。それを「育児がつらい」でひとくくりにするから、誰も反応しないわけです。だからその人にアクセスできないし、出会えないのです。
たとえば・・・
「夫がなにもしてくれなくて、育児がつらいあなた!」と呼びかけます。そうすると、「あっ、わたしのことだ」と言って、手を挙げてくれるでしょう。その時の媒体は、SNSでも、ホームページでも、市の広報でも、掲示板でもなんでもOKです。同様にして、「人に助けを求めるのが苦手で、育児がつらいあなた」と「仕事が忙しすぎて、育児がつらいあなた」も打ち出します。
すると、最初のひとりが手を挙げてくれます。そうなったら、さきほどの起業の話とおなじです。その人が、本当は何に困っていて、何を必要としていて、なんで子育て支援に来られなかったかを教えてくれます。そうすれば、つぎの呼びかけは、もっと的を射た内容で、行動を起こしてくれやすいものになります。そうやってブラッシュアップしていけば、精度は上がってゆきます。
肝心なのは、問いを深めることです。前提を具体的にすることです。そこをあいまいにして、行動しようとすると、迷宮に入ってしまいます。
この話は、まさに、今日の講演のなかで話した「答えのない問題に対して、どういうアプローチをするか?」という問題であり、答えはないので、出てきた反応にあわせて、修正をくわえて精度を上げていくということです。最初は、見当違いでもいいから、何かしら具体的な検討をつけることが大事です。
子育て支援に従事していて、本当に支援の手が必要な人、困っている人にアクセスできていないことを、もどかしく感じます。
どうしたら、必要な人のところに支援の手を届けることができるでしょうか?
目次
- 開会あいさつ
- 1日目:全国大会スキルアップ講座
『次世代こども教育コンサルタント養成講座』 - 「“10 年後 ” の世界に対応するために、“ いま ” からはじめる意識改革」
- 2日目:育児セラピスト全国大会シンポジウム
- 日本アタッチメント育児協会理事長
廣島 大三 - 基調講演「川の向こうにわたって「世界の中のワタシ」を育てる」
- ▼ 優秀実践者発表
- 定年後の夫婦の生きがいは、親子のよりどころを作ること
- ― ダイバーシティ部門・村木雄一さん
- 仕事だからこそ大事にしてきた「アタッチメントとベビーマッサージ」
- ― 保育・子育て支援部門・田口 いづみさん
- お悩みSV・オンラインAグループ「どうやってママたちに伝えたらいいの?」
- お悩みSV・対面Aグループ「起業しました!事業を軌道に乗せるにはどうしたらよいでしょうか?」
- お悩みSV・対面Bグループ「家事・育児、いまどき夫婦の奇妙な役割分担」
- お悩みSV・オンラインCグループ「どうしたら、本当に必要な人、困っている人に支援を届けられるの?」
- お悩みSV・対面Cグループ「起業したてで集客に悩んでいました」
- お悩みSV・対面Dグループ「フルタイムの仕事に、2人の子どもの子育て、ママは忙しすぎる」