ママが抱える「不安」はどこからやってくるの?

不安は心を占拠し、子育てを行き詰まらせる

「知識をあなどってはいけない。」いまの子育て事情を見ていて、そう思います。お母さんたちは、たくさんの不安を抱えながら、子育てしています。その不安は、時にお母さんの心を占拠し、子育てを行き詰まらせたりもします。

「知識の不足」が不安を生む

この「不安」は、いったいどこからやってくるのでしょうか。ズバリ言えば、「知識の不足」でしょう。知らないから、分からない。人は、正体の分からないものに不安を感じます。そして、正体が分かってしまえば、不安は消えていきます。これは、心理学においては、基本的な話です。

知っているだけでは、不安は解決しない

では、「知識をつければ解決する」のでしょうか。そう簡単な話ではなさそうです。ネットで検索して得た知識は、不安の正体を教えてはくれないのです。つまり、知識というのは、ただ知っただけでは、役に立たないのです。その知識の基盤や背景となる「基礎知識」が必要です。基礎知識というのは、方針や構造といった知識を理解するための枠組みです。それは、シンプルで、分かりやすいものですが、本当に理解しようとすると実は奥が深いものです。

知識を理解するための枠組みとなる「基礎知識」が大事

例えば、アタッチメントの基礎知識に、「くっついていることで育まれる。」「1歳までに活発に作られ、一生を通して強化される。」といったものがあります。この基礎知識を知らない人が、「子育てには、アタッチメントが重要だ」という知識を入手したとしても、それ以上の展開は期待できません。基礎知識を知っているから、くっつく営みに目が行き、0~1歳の時期に注目し、しかし、1歳を過ぎても遅すぎることはない、と理解できます。

基礎知識を深く追求した先に、不安の解決がある

基礎知識の中にも、基礎と応用があります。前述の例は基礎です。応用編というのは、さらに「なぜそうなるのか」という背景や、「年齢や発達段階」ごとの特性、「別の方向や別の分野」からの解釈などです。こうした基礎知識を基礎から応用にかけて、深く知り、理解している人は、現状の不安が何なのか、どうすれば良い方向に向かうのかを、ケースごとに見立てることができます。これこそが、「不安を解決する」ということです。

育児セラピストの基礎は、方向性を誤らないため

育児セラピスト後期課程(1級)を受けた方は、このことが、お分かりになるかと思います。前期課程(2級)の知識は、基礎知識の”基礎“部分です。シンプルで分かりやすい。場合によっては、物足りなさを感じる人もいるでしょう。それでも、子育てをする上で、好ましい方向性はわかります。なぜかはわからなくても、間違った方向性に行くことは、避けられます。親や養育者にとっては、それだけでも有意義なことです。

不安の正体を見立て、言語化する応用の基礎知識

しかし、ここで終わってしまえば、子育ての中で生じる様々な不安を解決することはできません。そのためには、基礎知識の“応用”、つまり、より専門性の高い基礎知識を身に着ける必要があります。育児セラピスト後期課程(1級)の発達心理学でいうと、ホワイト博士、モンテッソーリ、ピアジェをさらに深く学び、それらを、フロイトの理論で再解釈する、ということをします。

それらを基礎知識として、目の前の不安に解釈を与えるわけです。そして、不安の正体が分かったところで、具体的な対応を打ち出します。育児セラピストは、地域のお母さんの悩みや不安に対して、これをしてあげられる人なわけです。

知は安心を生み、無知は不安を呼ぶ

さて、冒頭の言葉「不安はどこからやってくるのか」。これは、目には見えない、言葉にもできない未知のものに対して、お母さん自身の心が生み出したものだったのです。つまり無知です。不安は「無知」からやってくる。

そして、放っておくと、不安はどんどん膨らみます。それを消し去るには、不安の正体を知るしかありません。そのためには、知識が役に立ちます。しかし、基礎知識がなくてはいけません。自らが身に着けるのか、持っている人に相談するか、どちらかです。どちらにしても、正体が分かってしまえば、不安は存在価値を失い、消えていきます。

冒頭の言葉を最後にもう一度。「知識をあなどってはいけません。」知は安心を生み、無知は不安を呼ぶのです。

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