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人生の後半で何をしますか?

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「子どもが巣立って、仕事は定年を迎える」とき、誰もが直面する現実があります。経験済みの方はもちろん、これからの方も想像がつくと思います。それは、「これまでの生き方の方針を根本的に見直す」という人生の必然です。

これについて意図的な人は40代後半から、そうでなくとも60代をむかえるころまでには、すべての人が考え始め、人生の方針転換へと動き出すことでしょう。

「中年の危機」に、決してやってはいけないこと

心理学者のC・Gユングは、これを「中年の危機」と称しました。ユングは、人の一生を太陽が昇って降りる表象でとらえ、人生の午前と午後と呼び、その真ん中の正午を中年の危機と呼びました。そして「人生の午後をむかえても、午前と同じ生き方・方針を続けていれば、すべては逆に作用する」と説きました。人生の午前で成功した生き方も、午後には通用しない。だから、人生の午後に向けて、人はその人生を見直し、方針転換を図らなければならないというのです。

      

たしかに、20代や30代のときにうまくいったことを、50代のいま同じやり方でやってもよい結果は得られないでしょう。そもそも頭の回転だって、体力だって、“あの頃”には到底かないませんから。

一方で、“あの頃”はまだ拙かったけど、いまならそれなりに役に立つものもあります。経験とそれに基づく無数のデータベースが、50代や60代にはあります。つまり、戦う武器ひとつをとっても、午前と午後ではちがうわけです。当然、方針や戦略もかわります。

人生の後半には、大事なものの順番が替わる

わたし自身もそうですが50歳を過ぎたころ、これからの後半の人生を描いて、その準備をし始めます。これまでの優先順位が変わり、人生の前提が変わります。まず、子育てが終わったことで、収入を得ることへの重要性と責任感が大きく減ります。ここから先は、仕事への取り組み方も変わるでしょう。人間関係についても変化するでしょう。夫婦は、これまでの子育てを前提とした関係ではなくなります。また、これまでの仕事を中心とした人間関係も、その比重はより地域や趣味の世界に向かうでしょう。この年代になったときに、男女を問わず向き合わなければならない課題です。

      

繰り返しになりますが、“人生の午後”を充実したものにするためには、午前と同じ方針は通用しません。ここからは、お金を稼ぐことは午前の人生ほど重要ではなくなります。代わりに、人と関わり、社会と関わることの重要度が大きく増します。まわりの人から感謝され、必要とされることが、ここからの人生の方針となります。お金に囲まれた晩年よりも、人に囲まれた人生の方が幸せなのは、誰もが想像できることではないでしょうか。

シニア世代が必要とされ、人生を豊かに生きる道がある

人に囲まれた人生へのもっともよい道筋のひとつに、子育て支援があります。男女問わず、誰もが取り組めて、なおかつ多くの親子から必要とされ感謝されます。子育て支援が、“人生の午後”の仕事として最良の道筋と言える理由は2つあります。

ひとつは、こちらがエネルギーとモチベーションをもらえることです。お母さんたちから頼りにされたり、感謝されたり、役に立つことができることは、午後の人生を豊かにしてくれます。さらに、赤ちゃんや子どもと接することで、とてつもないエネルギーを分けてもらえます。

ふたつ目は、わたしたちシニア世代(予備軍を含めて)が、これからの子育て支援には、必要不可欠だからです。単なる支援の手数としてではなく、人生の午後を生きる人が、子育て支援で必要とされている、という意味です。

“社会機能としてのじいじ・ばあば” が活躍する時代

これからの子育て支援には、“社会機能としてのじいじ・ばあば” の存在が重要となります。血縁や家族とは関係なく、地域のなかで機能する”じいじ・ばあば” です。親や保育者、先生は、子どもの養育において当事者です。当事者は、子どもの育ちに対して責任があります。ところが、じいじ・ばあばは、当事者ではありませんので、責任もありません。親なら「ダメ」と言わなければならない場面でも、じいじ・ばあばなら、「いいよ」と言ってあげられます。明らかに悪いことをして、先生から叱られた子どもを、じいじ・ばあばは、善悪に関係なく無条件に慰めてあげられます。言わば“子育て支援におけるガス抜き”の役割です。

シニア子育て支援が、子育てと教育の質を底上げする

シニアによる子育て支援の可能性は、わたしが子育て支援の世界に23年間身を置いてきたからこそ気づけたことです。そして、誰にとっても当てはめることができます。これまでどんな業界にいたか、男性か女性かといったことは、子育て支援においてはまったく関係ありません。重要なのは、人生の午後の世代であることそのものなのです。

シニア世代による子育て支援は、みなさんが想像している以上に大きな意義のあることです。従事者の第二の人生の充実を生むというだけにとどまりません。その地域の子育て環境や教育環境の質が底上げされます。それは、子どもが有能に育つことを意味します。それが全国に広がれば、地域だけでなく日本の子育てや教育そのものの質が向上します。人口が減少しても、ひとりひとりの日本人が有能で高い生産性を発揮するようになります。それは最終的には、日本の国力が上がることにつながると言っても、決して言い過ぎではないと思います。

わたしたちは、リスキリングでなにを学ぶべきか?

ところで今、政府をあげて“リスキリング”が叫ばれています。その多くは、いま持っていないビジネススキルやITスキルを身につける方向です。しかし、そうしたスキル単独では、現役世代の人たちにはかないません。つまり、そのスキルが単独で必要とされるのは、付加価値の低い、誰でも出来る仕事になります。もし単独ではなく、今のキャリアとのあいだにシナジーを生むような新たなスキルが見つかったならよいでしょう。しかし多くの場合、そんなスキルなら現役時代にとっくに身につけているはずです。

シニア世代のリスキリングが最もうまく機能するのは、そのスキルを身につけるのが、“あなた”でなければならない場合です。このポイントを無視しては、リスキリングなど有名無実にすぎません。

      

その最適解こそが、子育て支援です。その理由は、これまで述べてきたとおりです。子育て支援のスキルなら、単独で学んだとしても、親子から、地域から、社会から必要とされます。なぜなら、そのスキルの持ち主が、現役を卒業した世代の方であることに意味があるからです。すでに、そこにシナジーが生まれているのです。

ところで、シニア世代による子育て支援は、すでに多くの先人たちが先を歩んでくれています。現時点では女性が多いのは確かですが、わたしよりも先輩の男性の事例もあります。

人生の後半を豊かに送る人たちの実例をぜひご一読ください

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子育て支援におけるリスキリングで、もっとも多く取得されている資格

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