第8回育児セラピスト全国大会2017東京会場「10年の時を経て」

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育児の専門家部門:西島 聖美さん(ピアノ・リトミック講師)

北海道の東のはしから、育児セラピストの理念、ココにあり!

西島聖美さんは、北海道の東端にある浜中町で、5人の子どもを育てながら、ピアノ・リトミック教室と、ベビーマッサージ教室をはじめとする子育て支援の活動をされています。西島さんは、この全国大会で、一般の方向けに毎年開催している「育児セラピスト前期課程(2級)」を受講したのが始まりでした。

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受講にいたるきっかけは、長女のお子さんが中1のときに「起立性調節障害」になったことでした。これは、思春期の自律神経失調症とも言われるもので、症状は人に寄りますが、西島さんの長女の場合、睡眠障害がひどく、摂食障害もあり、一時は学校にも行けないほどだったそうです。そんな娘さんを見て、5人のお子さんの子育てを立派にしてきた西島さんのこれまでの自信は崩れ、自分の育て方が悪かったのではないか、東京から北海道に越してきたのがいけなかったのではないか、そして、5人も子どもがいなければ、とさえ思い悩んだそうです。

そんな時、小児科のお医者さんに言われたのが、「お母さんは、お子さんにとっての『絶対的な安心感』を与える存在でいてあげてください」と言われたそうです。この『絶対的な安心感』を調べて追及したら、日本アタッチメント育児協会に行き着いたそうです。そして、「育児セラピスト前期課程(2級)」の受講に至ったわけです。

知識を得たことで、責めるマインドセットが、成長するマインドセットに変わった

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この受講は、西島さんにとって転機となりました。これまでの「自信を失って自分を責めるマインドセット」が変わったのです。「親は子に育てられ、親として人間として成長すればいい、アタッチメントを育む中で、子育てを楽しもう!」と思えるようになり、気持ちが楽になったそうです。

そして、これまでやってきたわらべ歌マッサージに、アタッチメントの背景を加えるべくアタッチメント・ベビーマッサージを受講しました。そして、さらに発達心理学に基づく裏付けを専門的に学んで、母親としてさらなる自信につなげようと思い、一気に育児セラピスト・シニアマスターまでの受講を決めたそうです。1級ではなく、シニアマスターまで行こうと思われた理由は、「人は一生涯、発達し続ける」という生涯発達の考えに惹かれたからだそうです。

生涯にわたる発達を学ぶことで、育児にも、人生にも自信がついた

このシニアマスターで、「人生の正午」「中年の危機」という概念に出会います。「人生の正午」というのは、およそ40歳を指しますが、この時期に人の人生は、これまで外へ向かっていたエネルギーは、内面へと向かうというものです。そして「中年の危機」というのは、40~45歳の時期には、これまでの人生の中でも、思ってもみなかった危機が訪れる時期であり、だからこそ、きちんと発達課題を見直して、課題と向き合うことが大切だ、という考えです。

西島さんは、娘さんの起立性調節障害を、この「中年の危機」に起こった危機の一つとして捉え、目の前の発達課題として向き合ったと言えます。さらに、シニアマスターでは、乳児期、幼児期、児童期、学童期、思春期、成人期、中年期、老年期のすべての発達課題を学びますので、幼児期から思春期までの5人の子どもの子育てにも、直接役立てられたことも、西島さんの自信を高めたことと思います。

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西島さんは、5人の子どもの子育てを通して形成された育児の自信が、娘さんの起立性調節障害を機に一度は崩れたものの、自らが学ぶことによって、(大人としての今の自分の)発達課題と向き合い、再び自信を取り戻しました。そして今度は、かつての自分のように育児に悩むお母さんたちを導く存在になる事を、次の発達段階への課題として捉えました。そして、その自信と決意を決定づけるために、保育士資格の取得にチャレンジし、見事合格されました。5人のお子さんも、これをとても喜び、そんなお母さんを誇りに思ってくれているそうです。それは、お子さんたちも、お母さんの決意と努力をわかっているからこそのことだと思います。

母として、大人として発達課題を超えた先に見える子育て支援の一つの形

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自らが子育てに悩み、時には自信を無くし、それでも現実と向き合い、問題を乗り越え成長してきた母親だからこそ出来る子育て支援の一つの形が、ここにあると思っています。学んで知識を得るだけではなく、それを実生活や仕事の中で活用してみて、はじめて見えてくるものがあります。西島さんにとっては、それが「自分と同じように育児に悩むお母さんたちの助けになるという動機」だったのだと思います。最初は、自分と自分の子育てのために育児セラピストの学びを得て、その過程で自らの発達課題を乗り越えた先には、今度はその思いがまわりのお母さんへと広がっていく。実は、多くの受講生が、「自らの子育て」を最初の受講動機として持っています。そうした方たちが、学んだその知識を、自らの子育てや自らの人生に活用したその先に、「育児の専門家」としての子育て支援があるのではないでしょうか。

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