第8回育児セラピスト全国大会2017東京会場「10年の時を経て」
開会あいさつ
今年は、当協会の設立10周年の節目の年の全国大会となりますので、当協会の名称にもなっている「アタッチメント」について再確認する機会にしたいと考えました。10年前の設立当初を思い返してみると、「アタッチメント」という言葉は、それほど認知度があったとは言えない状況だったというのが、講座に登壇してきた現場での実感です。
当初から、保育士さんや看護師さん助産師さんが多かったのは、今も変わりませんが、講座の中で、アタッチメントを知っている人は、3割くらいだったような印象です。また、「子育てを学ぶ」という視点については、子育て支援に携わる方たちにとっての関心事ではありましたが、お母さんたちにとっては、そういう考えをする人は稀だったと思います。
10年経った今では、「アタッチメント」は、一般のお母さんたちの間でも知られるようになり、子育てと関連して使われるようになりました。また、「愛着障害」という専門用語は、テレビや一般書籍でさえ見られるようになりました。
今年の全国大会は、そのように社会での認知度や理解も変わってきている「アタッチメント」を、この節目の年に改めて見つめ直す機会としたいと思っています。そうした背景もあって、今年のスキルアップ講座は、「アタッチメント発達支援」をリリースいたしました。
10年前までは、私は、発達障害児の発達支援は、子育て支援とは一線を画す福祉分野であり、療育などの専門機関や行政が主導する分野だと考えていました。そして、われわれ民間の子育て支援が立ち入るべき領域ではないと思っていました。
しかし、この10年間で私のアタッチメントに対する認識が少しずつ変わってきました。何が変わったかというと、それは「アタッチメントの可能性」についての認識です。「アタッチメントの可能性」は、私たちが思っている以上に大きいのです。言い換えれば、私たちが思っている以上に、「アタッチメントが出来ること」は、大きいようなのです。その根底には、発達障害児の子育ても、健常児の子育ても、「子育てにおいて大事なこと」は同じである、という考えがあります。その「子育てにおいて大事なこと」こそ「アタッチメント」に他ならないのです。
一方で、最近の現場の声を聞くと、「民間の子育て支援が立ち入るべき領域ではない」などと言っていられない状況になっていることに気付きます。「発達グレーゾーンの子が増えている」「わが子の発達障害を危惧する親御さんが増えている」「子育て支援の中で、発達に関する相談を受けることが多くなっている」などなど。ここ数年で、一般の子育て支援や保育あるいは医療の現場において、このような声を聴く機会は格段に多くなっています。
このような背景があって、10周年の節目のこの年に、「アタッチメントで発達支援をしよう」というテーマに取り組んだ次第です。
「アタッチメントは、子育ての本質だ!」
これが、10年前から私が掲げていた信念であり、この10年を通して、私が辿りついた確信でもあります。今年の全国大会では、このことを再確認する会にしたいと思っています。
今日は、私自身が、数々のご著書や講演などを通して学ばせていただいている、アタッチメント研究における第一人者である遠藤利彦先生にお越しいただいております。遠藤先生から直接「アタッチメント」を教えていただき、アタッチメントを再確認する絶好の機会ですので、私自身が一番ワクワクしております。
「遠藤利彦先生、よろしくお願いします!」
目次
- 1日目:全国大会スキルアップ講座
『アタッチメント発達支援アドバイザー』 - 「アタッチメント発達支援0期に確かな手ごたえ」
- 2日目:育児セラピスト全国大会シンポジウム
- 開会あいさつ
- 遠藤利彦先生 特別講演「アタッチメントと子どもの発達」
- ▼ 東京会場 優秀実践者発表
- 「等身大」の教室運営が、巻き込み力の秘訣
- ― アタッチメント教室部門:高砂 真希子さん(専業主婦)
- 北海道の東のはしから、育児セラピストの理念、ココにあり!
- ― 育児の専門家部門:西島 聖美さん(ピアノ・リトミック講師)
- ランチ懇親会
- グループワーク