オンライン座談会 第一部:初期の優秀実践者とともに振り返るこれまでの10年
この10年のベビーマッサージを振り返る
12年前を振り返る野﨑さん。まだベビーマッサージを誰も知らないころのこと。当時、園医さんに相談したら、「ベビーマッサージって何?」とお医者さんに聞かれる状況、お母さんたちにも、「ベビーマッサージってなぁに?」というチラシを配るような感じでした。
古橋さんも、同様の状況を振り返ります。同僚の男性に「ベビーマッサージ教室をはじめるの!」と言うと、リラクゼーションマッサージと思われて「なにそれ、オレにもやってよ」と言われた思い出を話してくれました。古橋さんは、個人で教室を立ち上げて、集客から何から一人でやる形で始めました。まさに、個人のベビマ教室のはしりです。SNSもない時代なので、市役所の子育て支援課に出向いて、ベビーマッサージを紹介し、市民の子育てにいかに重要なものなのかを「ベビーマッサージは予防接種と同じですよ!」と言って、PRしたそうです。この言葉、名言です。そんな古橋さんの積極的なベビーマッサージの啓蒙活動が実って、いまでは子育て支援センターの定番となって大人気をはくしています。現場を大事にしたい古橋さんは、コロナ禍でもZOOMではなく対面にこだわって続けておられます。
同じくベビマ教室をされて7年目になる本郷さんも同様に、知名度のない時代から始められています。始めた当初は、1回きりのご縁のお母さんも多かったのですが、続けていくうちにリピートしてくれるお母さんが増え、今では1回来てくれたお母さんは、短くても1年は続けてくれるような感じになっています。常連の方が常にいて、その方たちのクチコミで新規の方たちがコンスタントに入ってくるカタチです。個人教室の新規集客は大変ですが、3年くらいやっていると、クチコミによる安定した新規集客の流れができてきます。これは、皆さんに当てはまることなので、ぜひ参考にしていただきたいです。
安原さんは、保育園の中の教室であり、豊橋市の幼児ふれあい教室事業として行っておられるとのことですが、いかがですか?はじめた当初は、チラシを配ったりして、少しずつ知ってもらう状況で集客は苦労しました。豊橋市が子育て支援に力を入れるようになり、幼児ふれあい教室事業に参加してからは、それをとおして参加者が集まってくれるようになり、今では抽選になるほど人気になっています。
そこで私の質問。『今ではメジャーになったベビーマッサージですが、そうなるとまわりにベビマ教室がいっぱいできて、競合が増えて集客に困るという状況はないですか?』
これには、みなさん一様に「それは感じません」というお答え。つまり、競合が多くてお客さんが来ないのではなく、知られていないからつながらないだけということです。ベビーマッサージは卒業してしまいますが、それでも絶えることなくお母さんたちは来てくれています。つまり、知ってもらえれば、行きたいお母さんは、近くにたくさんいるということです。これから始める方は、ついまわりの教室が気になってしまいますが、競合を気にするよりも、知ってもらうことが重要です。
さらに、ベビマの後のメニューを用意しておけば、より長くお母さんに来てもらえるわけです。その流れでいると、安原さんの教室は、ベビマの後にヨガやあそび発達など多彩なラインナップを用意して、お母さんと長いお付き合いをされています。
瀧川さんも同様の状況を語ってくれました。当初はまったくベビーマッサージの知名度がない状況の中で、行きつけの美容院やパン屋さんにチラシやカードを置いてもらうことから始めました。ご自身が住んでいるマンションの管理組合に話をして、掲示板に載せてもらったりもしました。最初は、無料の体験会を行います。無料だと20名くらい参加してもらえます。そこから定期クラスに入ってくれるのが2~3人です。マーケティングの話をすると、10%以上の割合で正規クラスに入ってくれるというのは、非常に優秀ですね。そんな感じで始めました。もともと少数制のクラスなので、コロナ禍でもあまり変わりなく運営できています。最近の傾向で言うと、パパの参加が増えているそうです。チラシは、たくさん配っても実際に来てくれるのは1人か2人です。でも、チラシを見て、実際に電話して来てくれるお母さんは、モチベーションが高く、発信力が高い方が多いので、そのあとに何人ものお母さんを連れてきてくれます。たった一人でもクチコミ力が高いわけです。その意味でチラシは効果があると言えそうです。