第9回育児セラピスト全国大会2018「心を救うママケア」

現場のお悩みスーパーバイズ:大阪

第8回育児セラピスト全国大会

CD班:転職先の上司の指示があいまいで、どう仕事をしてよいかわからない

「最初のお悩みは、保育士を辞めて、一般事務に転職をした26歳の女性です。転職先の直属の上司(43歳男性)の仕事の指示が曖昧で、『どういう風にすればいいですか?』と聞くと、『適当にやっておいて』としか言ってくれない。何かにつけて、この調子なので、今後どうやって仕事をしていってよいのか悩んでいます。私としては、一つ一つの仕事の意味や目的を把握して、望まれる結果を知った上で仕事をしたいと思っています。」

これに対するグループ内の方たちの答えは、「適当にと言われても、根気よく具体的に聴いていく」でした。私も、まずは、これだと思います。もしかしたら、仕事をある程度覚えるまでは、具体的な指示が必要な仕事を振られていないのかもしれません。

「適当にやっておいて」は、責任逃れしようとする無意識の表れ

しかし、「適当にやっておいて」という指示をする40代の上司には、問題があります。どんな単純作業でも、指示は常に具体的でなければなりません。その人のスキルに応じて、より目の前の(簡単な)ゴールを指示するか、遠くの(難しい)ゴールを指示するか、いずれにしても、指示は具体的でなければなりません。「適当にやっておいて」という指示には、責任逃れの態度が宿っています。こういうのは、一番ついてはいけない上司です。

それに対して、この質問者さんの仕事の態度には、若いのに感心させられます。何も考えないで漫然と仕事をする若者も多い中、「期待される結果が設定された仕事をしたい」というのは、大したものです。個人的には、彼女は、一般事務よりもむしろ保育士に向いてると思った次第です。

石の上にも三年いれば、多くのモノが得られ、成長できる

それを踏まえた上で、もし私の娘が同じ境遇だったらなんというか?

「3年はがんばってみろ!学べることは必ずある」

そんな上司のいる会社でも、会社として存続している以上、必ず社会の中で価値を生んでいるはずです。そこから学べることは大きい。しかし、それを見つけ、自分のものにするには3年かかる、という意味です。

デキない上司は、ほどほどに、デキる人の背中に学ぶのが成長のコツ

その上司とは、ソツなく役割をこなせばいい。どんな会社にも、必ずデキる人がいる。その人を見つけて、手本にするのが、組織で成長するコツです。デキる人の背中を見ていれば、デキない上司のことは、気にもならなくなります。

AB班:子どものおもちゃの取り合いで、ママ同士が険悪に・・・どうおさめれば良かったの?

「先日サロンに来た親子がおもちゃを持参しました。その子が、持ってきたおもちゃで遊んでいると、別の子がそのおもちゃを取ってしまい、泣いてしまう出来事がありました。その場は、何となくお母さんが謝っておさまったと思っていましたが、そのあと、ママ同士が険悪な感じになり、おもちゃを取ってしまった子のママは、帰ってしまい、イヤな感じになりました。私は、その場をどうおさめれば、良かったのでしょうか?」

おもちゃを持ってこないことをルール化する

ママが自由に集まれるサロンを自宅で開いている方のお悩み。こちらのサロンでは、あえておもちゃを置かないようにしており、そんな中での出来事だったそうです。

このお悩みに対して、グループ内では、「おもちゃを持ってこないことをルール化して、明文化する」とか、「おもちゃを持ってきてしまったお母さんには、口頭で伝えて、しまっておいてもらう」といった解決策が出ました。この「ルールを決める」というのは大賛成です。この一件があったから、今回ルールを作ることが出来たので、この一件については、そのきっかけをくれた出来事と受取れます。

0・1・2歳児を叱っても百害あって一利なし

私の方からは、こういうケースでの場のおさめ方をアドバイスしました。お子さんは2歳児とのこと。0・1・2歳児で、おもちゃの取り合いが起こった時は、「他に気を逸らす作戦」がもっとも有効です。この時期の子どもは、「あとからの刺激に反応」します。そして、反応して振り向けば、前のことは忘れて、そちらに興味を示します。まさに「いまここ」なのです。おもちゃを取ろうとする子どもに対して、先生が「○○くん、ほ~ら、こっちでもっと面白いことしようよ」という具合です。このとき、大きな声で気を引いく事が重要です。そして、先生が気を引いている間に、お母さん同士で、「ゴメンね!」「いいのいいの」とやりあえば、事なきを得ます。

ちなみに、この時、子どもを叱ったり、正しい行動を教えたりする必要はありません。3歳までは、叱られても「怖かった記憶」しか残りません。叱られた時には、自分が何をしたかも覚えていません。叱られたことと、自分の行動の因果関係も理解できません。

3歳過ぎたら、事件は社会のルールを教える絶好のチャンス

3歳以降の子どもなら、先生が子どもの間に入って、おもちゃを取ってしまった子に対して、こういう時のお手本を示すことも出来ます。「『かして?』と聞いて『いいよ!』と言ったらかりるんだよ」あるいは、「○○くんが、同じことされたら、嫌な気持ちがするでしょ」などと言って、ルールを教えます。

ただし、3歳以降でも、自尊感情が充分に育っていない子だと、他者に思いは向きませんので、その場合は2歳児と同じ「気を逸らす作戦」の方が有効です。

EF班:フルタイムで仕事復帰、でも子育てと両立できる自信がありません

「学校の美術教師です。出産で2度目の産休を経て、仕事復帰を考えています。そんな時、正職員での美術教師の話をいただきました。しかし、両方の母親は遠くに住んでいて、子育てで頼れる人はいません。夫は、協力的なのですが、忙しく海外出張もあります。そんな状況で、子育てとフルタイムの仕事を両立できるか心配です。でも、このまま、復帰しないで、ブランクが空いてしまうのも心配です。」

たまたま同じ境遇の美術教師の事例を聞けた

この方は、ちょうどグループ内にいた、全く同じ境遇の娘さんをもつYさんの話を聞くことが出来ました。Yさんの娘さんは、まさに相談者と同じ美術教師で、非常勤教諭を経て、ようやく正規採用が決まった年に妊娠がわかり、そのまま産休に入りました。1年後、産休があけて仕事が始まりました。しかし、相談者と同様、おばあちゃんは近くにおらず、頼れる人もなく、仕事と子育てに追われる日々が続きました。そして、正規職員になって1年経った頃、ストレス性の機能性発声障害(心因性失声)になってしまい、休職となりました。現在は、復職していますが、Yさんが出来る限り娘さんの子育てを支援しているそうです。

そんなYさんは、フルタイムの教員は、仕事量も責任も大きく、サポートしてくれる人がいないと、子育てとの両立は大変。娘のように、ストレスで心や体がやられてしまうよりは、無理のない程度に働くことを考えても良いのでは、とアドバイスしました。

今は、いろんなサポートがある。それに目を向ければ、可能性は広がるかも

会場の吉田さんからは、自分が決めた道を信じてやっていくしかない。お母さんのサポートが得られないなら、他のサポートを探すという手もあるのでは?今は、意外と多様なサポートが用意されているから、もしかしたら相談者さんに合ったものがみつかるかも。

受容感を感じた途端、自分の中から解決策がわいてきた

こうしたアドバイスに対して、相談者の方が言いました。「私の悩みをみなさんが一生懸命考えてくれて、アドバイスをくれて、それだけで暖かい気持ちになれました」

そう言って自らの問題を自己解決しはじめました。「そう言えば、先日出会ったおばあさんが、子育てを手伝ってくれると申し出てくれたのを思い出しました。その方にお願い出来るかもしれません。」「先日、子育て支援センターで工作教室をやってみました。これも、キャリア継続の一つのカタチですよね。」「無理のない時間講師の仕事を探してみます」どんどん前向きなアイデアが湧いておられました。

第8回育児セラピスト全国大会

GH班:ママ支援がしたいけど、何をどうやっていいのかわかりません

「上は18歳から下は2歳まで、4人の子を持つ母です。以前は、エステサロンを経営していましたが、いまは専業主婦です。上の子も大きくなり、そろそろ何かしたい。やるなら、子育てでいっぱいいっぱいのお母さんを助けるママ支援がしたいと思っています。でも、どんなことをやればいいのか、どうやればいいのか、わかりません。教えてください。」

まずは、何も考えず、はじめの一歩を、小さくやってみる

この質問に対する私の回答は、「何でもいいから、まず小さくやってみる」です。最初の1回目は無料で、知り合いの方やお友達を呼べば良いのです。その方が下手なプレッシャーがないからです。やってみると、お母さんが何を求めているかわかります。それがわかると、それに対して自分が出来ること、してあげたいことが見えてきます。それは、あなたの強みや得意なことかもしれません。そうして、あなたらしい支援のカタチが出来てゆきます。そのうち、人が人を呼び、賑わいも出てきます。

強みや得意があなたの支援のカタチをつくる

エステサロンを以前にやっていたということなので、お母さんにリラグゼーション・ケアのようなものを提供できるかもしれません。最初は、「0・1・2歳のママのための」というように、なるべく対象を広げずに、絞る方が上手くいきます。

会場には、すでに教室やサロンなど様々な形でママ支援をしている方がたくさんいますので、会場からも意見を募りました。そんな中、ベビーマッサージ教室をやっている細川さんが自らの経験談を話してくれました。

ちょうど昨年、この場で、わたしも同じように悩んでいました

「ちょうど昨年、この場所で、私も同じような悩みを持って、全国大会に出席しました。ベビマの資格を取ったものの、何をどうやっていいかわからず、特に集客に困って相談しました。そして、そこで教わった『丁寧にやっていれば、人が人を呼んで生徒は増えていく』という言葉を信じて、地道にやってみました。そうして1年経った今、私のベビマ教室は満員になりました。だから実感しています。まずは、やってみることが大事。そこから、必ず何かが始まりますよ。」

はじめるときは、みんな同じ、わからなくて不安、そしてやってみてはじめて見えてくる私なりのカタチ

すると、別のグループの本郷さんも、

「私も、最初にはじめるときは、まったく何をしていいのかわかりませんでした。ベビマ教室をするぞ!と決めたものの、右も左もわかりません。でも、いざ1回目をやって、2回目、3回目と回を重ねると、だんだん私の教室の特徴が見えてきました。そして、いろんなやりたいことが浮かんできました。みんなおんなじだと思いますよ!いっしょにがんばりましょう!」

こうして、会場全員で、「がんばるぞ!オー!」という感じになって、スーパーバイズは幕を下ろしました。今回の大阪でも、非常にグループダイナミクスの効いた一体感のある場だったと思います。

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